稀勢の里 あと6日「患部に問題ない」 三役級との稽古回避、左おっつけ封印
「大相撲夏場所」(14日初日、両国国技館)
3場所連続優勝を目指す横綱稀勢の里(30)=田子ノ浦=が8日、千葉県船橋市の二所ノ関部屋で行われた恒例の二所ノ関一門連合稽古に参加し、十両琴恵光(25)=佐渡ケ嶽、平幕豪風(37)=尾車=を相手に16番取り、14勝2敗だった。3日連続で関取相手に闘志をあふれさせたが、三役クラスとの相撲は回避。春場所で負傷した左上腕部はまだ全開には程遠く、元横綱で相撲解説者の北の富士勝昭氏(75)は調整遅れを指摘した。
患部を覆うテーピングは前日より増えていた。手負いの姿で稀勢の里が土俵に入った。一門の関取衆がズラリと並ぶ中、三番稽古に指名したのは十両9枚目の琴恵光。一門には弟弟子の高安、琴奨菊(佐渡ケ嶽)、玉鷲(片男波)の3関脇に小結嘉風(尾車)がいるものの三役クラスを回避した。
初日まで1週間を切った時期に取る相手ではない。「おらあ、押せ」のゲキも届かず、琴恵光は8番で息切れし“ノックアウト”。続いて指名したのは37歳のベテラン豪風だった。計16番取って14勝2敗。動きは悪くないが、代名詞とも言える左のおっつけはまたも封印した。
前日は追手風部屋に出稽古し、平幕大栄翔を相手に15番。この2日間で対した3力士は自身より小さく、30キロ以上も軽い。通常なら高安の猛烈な当たりを受ける真剣勝負で仕上げている時期。調整は明らかに遅れている。
見守った元横綱で解説者の北の富士氏は「左は差して、かいな(腕)を返すくらい。おっつけは厳しい。(万全には)遠いでしょう。休む手もある。出るも地獄、休むも地獄だよ」と、休場もやむなしの状態であることを示唆した。
周囲の不安をよそに本人は患部に何の問題もないと断言する。「いいと思います。しっかり自分の相撲を取れた。(左の使い方は)非常にいい。番数より集中してやる。体は張ってきている。今までとはまた違うものが得られる気もするし、いいチャンス。今場所は(調整は)変わっているけど、1日1日充実している」。笑みさえ浮かべながら自信満々にうなずいた。