柔道73キロ級・橋本壮市“ブタの不敗神話”継続で世界選手権へ
遅咲きの実力者が輝きを増している。柔道のグランドスラム(GS)エカテリンブルク大会で男子73キロ級を制した橋本壮市(25)=パーク24=が23日、ロシアから成田空港に帰国。得意技の袖釣り込み腰だけでなく、練習してきた体落としでも一本勝ちするなど手応えをつかみ、「世界選手権に向けていい流れをつくれた。海外選手にもプレッシャーを与えられた」と胸を張った。
これまで同学年のライバルでリオデジャネイロ五輪金メダルの大野将平(25)=旭化成=の影に隠れる存在だったが、26歳で迎える今夏の世界選手権(ハンガリー)で初の代表権を獲得。大野が不在の中で自身は国際大会6連勝を飾り、世界ランク1位に浮上するなど、存在感は増すばかりだ。
好調が続く橋本の持ち味について、日本男子の井上康生監督(39)は「受けの強さがあり、メンタルも明るくてどんな場所でも動じない」と説明。「元々実力は(12年ロンドン五輪銀メダルの)中矢力や(10年世界選手権金メダルの)秋本啓之と同じレベルのものを持っていたが、最近は壁を一つ破った。以前はけんか四つに苦戦していたが、今回も左が相手でも自分のペースで戦えていた」と成長に目を細めた。
さらに、橋本に謎の力を生んでいるのが“幸福の黄色いブタ”だ。量販店で陳列されているただのオモチャだったが、「目が合って、押したら“ブー”と鳴ったから」という理由で購入。昨年5月のアジア選手権で遠征に持っていって以来、国際大会では負け知らずという“不敗神話”は継続中で「部屋での癒やしにもなる」と、旅のお供に欠かせない存在となった。
ただ、今夏のハンガリーに向けては「ブタというより実力で勝てるように頑張る。目標は優勝しかない。世界一になれるように」。ライバルの大野を脅かす上でも、ゲンだけでなく地力で相手を担ぎ上げることを誓った。