桃田、涙の復活V「つらい時期を思い出した」
「バドミントン・日本ランキングサーキット大会」(31日、さいたま市記念総合体育館)
男子シングルス決勝が行われ、違法賭博問題による大会出場禁止処分から1年2カ月ぶりに復帰した元世界ランク2位の桃田賢斗(22)=NTT東日本=は、日本代表で日本ランク3位の上田拓馬(28)=日本ユニシス=にフルゲームの末、21-13、14-21、21-19の2-1で競り勝ち、優勝した。
1時間を超えるシーソーゲームを制すと、桃田はコートに突っ伏したまま動けなくなった。ここまでの道程が脳裏によみがえり、涙が止まらない。しばらくすると立ち上がり、四方に深々とお辞儀をした。温かな拍手は鳴りやまなかった。
「優勝した瞬間、つらいときに支えてくれた方々や、バドミントンができる環境をつくってくれた人への思いがこみ上げてきた。(つらかったのは)みんなが試合に出ている時も(所属に)残って練習をしている時期や、応援してくれる人を裏切ったこと。会社にも、チームメートにも、家族にも迷惑を掛けたことが、一気にこみ上げてきた」
どん底まで落ちた元エース。1年間の処分期間を経て、自分が起こした事の重大さを痛感した。以前は試合で勝てばいいと思っていたが、今は違う。
「今回の目標は優勝じゃなくて、コートの中での振る舞いや、人間としての成長を見ていただきたかった。また応援したいと思っていただく選手になることが目標。今回、優勝して少しは恩返しできたけど、自分の目標はまだまだ先。引き続き、今の気持ちを忘れずに戦いたい」
今後は、7月に国際大会にも復帰予定。再び世界のトップを目指して、ゼロから出発する。