13歳張本あっぱれ金星 リオ銅・水谷破る大番狂わせ
「卓球・世界選手権」(1日、ドイツ)
男子シングルス2回戦で張本智和(13)=エリートアカデミー=が、リオデジャネイロ五輪銅メダルの水谷隼(27)=木下グループ=を4-1で破る番狂わせを演じた。
大金星の瞬間、いつもの雄たけびはなかった。ゆっくりとラケットをコートに置き、勝利の余韻に浸る。「憧れ」という国内敵なしのエース水谷を破った史上最年少の日本代表、13歳の張本は「卓球をやってきた中で一番うれしかった。(最後は)声を出す体力もなかった」と頬を紅潮させて話した。
2ゲームを先取して迎えた第3ゲームの13-12が分岐点だった。次は水谷のサーブ。リードした場面で「一回気持ちを落ち着かせようと思った」と先にタイムアウトを取った。続くレシーブは、鋭い回転をかけたバックハンドの「チキータ」を選択。失敗を恐れない攻撃的なプレーが奏功し、水谷の3球目はネットにかかり、大勢は決した。
リオ五輪で二つのメダルを獲得した相手に対し、試合前に勝つ自信は「5パーセント」。それでも「100パーセント勝つ気でいた」という。練習で水谷から教えてもらったサーブも使い、持てる技術を出し切った。
昨年は世界ジュニア選手権を史上最年少で制したが、シニアとの対戦が増えた今年は思うような結果が残せていなかった。「なんでこんなに勝てないんだろう」と自問自答することもあったが、大一番で爆発した。次代のエースは「勝ったからメダルを目指すのではなく、初心に戻って1試合でも多く勝てるように」とおごることなく言った。