美宇、丁寧にバックハンド封じられ完敗銅…48年ぶり金の夢散る
「卓球・世界選手権」(3日、デュッセルドルフ)
女子シングルスは準決勝でアジア女王の平野美宇(17)=エリートアカデミー=が五輪金メダリストで大会2連覇を狙う丁寧(中国)に1-4で敗れ、銅メダルに終わった。男子シングルス4回戦で13歳の張本智和(エリートアカデミー)が勝ち、シングルスでは男女を通じて史上最年少での準々決勝進出を果たした。混合ダブルス準決勝は吉村真晴(23)=名古屋ダイハツ、石川佳純(24)=全農=組が方博(中国)ソルヤ(ドイツ)組に4-3で競り勝ち、2大会連続の決勝に進んだ。
不安そうな表情を浮かべた平野が、何度も首をかしげた。磨き上げた高速の両ハンドが入らず、1ゲームを奪うのが精いっぱい。頂点にたどり着けずに快進撃は終わったが、「収穫の方が多い。そんなに悔いはない」とさばさばと話した。
五輪女王を本気にさせた。4月のアジア選手権では、超高速卓球を展開した平野が金星を挙げたが、中国側の対策は入念だった。丁寧は普段の中陣ではなく前衛気味にプレーし、平野のスピードに対応。さらに台上へ短いサーブを出し、強打を封じる作戦を徹底してきた。
最後の第5ゲームでは、10-5とマッチポイントを握った丁寧が得点を勘違いし、雄たけびを上げながら勝利のガッツポーズ。それほど、冷静沈着な最強女王が日本の17歳を倒すことに血眼になっていた。「今回は自分をライバルだと思ってくれている」と平野も相手の変化と自分の成長を感じ取った。
決勝には進めなかったが、平野は歴史の扉を開いた。日本勢では1969年ミュンヘン大会以来、48年ぶりのメダル獲得。「メダル、メダルと言われていて、本当にメダルを取れてよかった」と安どしつつ、「もっと成長したい。相手が対策してきて、そこで負けてしまったのは実力不足。(丁寧との差は)縮まっていると思うが、まだまだ自分が勝っているとは思わない」と前を向いた。
2020年東京五輪に向けて、しっかりと足がかりをつくった。この一敗が、必ず金メダルの糧になる。