リオ銀トリオが落選危機!?多田、サニブラウン台頭で男子100は史上最高レベルに

 「陸上・日本学生個人選手権」(10日、BMWスタジアム平塚)

 男子100メートルが行われ、準決勝で多田修平(20)=関学大=が、追い風4・5メートルの参考記録ながら、電気計時では国内レース初の日本人9秒台となる9秒94をマークした。追い風参考条件での9秒台は、桐生祥秀(東洋大)の9秒87、ケンブリッジ飛鳥(ナイキ)の9秒98に続く3人目。

 多田は決勝では公認条件で、日本歴代7位タイとなる10秒08(追い風1・9メートル)で優勝。8月の世界選手権(ロンドン)の参加標準記録(10秒12)を突破し、代表入りに名乗りを挙げた。

 世界選手権代表3枠を争う日本選手権(23日開幕・大阪、長居陸上競技場)では、史上空前のハイレベルな争いが繰り広げられる。現在、世界選手権の参加標準記録を突破し、日本選手権の100メートルにエントリーしているのは、桐生(10秒04)、山県(10秒06)、多田(10秒08)、ケンブリッジ(10秒12)の4人。さらには伸び盛りの18歳、サニブラウン・ハキーム(今季ベスト10秒18)もいる。リオデジャネイロ五輪の400メートルリレー銀メダルメンバーで、100メートルを主戦場とする桐生、山県、ケンブリッジの3人が代表から漏れる可能性も出てきた。

 多田のレースを見守った日本陸連の伊東浩司強化委員長は「いい走りだった。今までまったく歯が立たなかった桐生くんや山県くん相手でも、今日のような前半の走りができれば可能性はある。記録の短縮率は上がってるので」と、頷いた。

 参加標準を切っている4人の走りについて「多田君はピッチを自由自在にコントロールできて、スタートからの組み立てが上手。桐生くんは今季は安定しているし、向かい風で10秒0台を出しているように地力がついてる。加速は抜群。山県くんは怪我のない前提では、1番実力がある。スタートからしっかりレースを組み立てられる。ケンブリッジくんは混戦に持ち込めば、しぶとく粘れる」と、評価。「9秒台をさまたげる要因はなくなってきている。9秒台は、いつでも(出る)という状況になってきた」と、嬉しい悲鳴を上げた。

 ダークホースとなった多田は「目標は表彰台。自信はある。勝ちにいきたい」。はにかみながら、力強く、挑戦状を叩きつけた。関西の新星登場で、日本人最速決戦が、風雲急を告げてきた。

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