桐生全体4位 9秒台どころかスタート失敗ヤバイ…「切り替えて」

 「陸上・日本選手権」(23日、ヤンマースタジアム長居)

 男子100メートルの予選、準決勝が行われ、15年世界ユース2冠のサニブラウン・ハキーム(18)=東京陸協=がともに日本歴代6位となる10秒06をマークし、全体1位で24日の決勝進出を決めた。世界選手権の参加標準記録(10秒12)も突破し、一気に代表争いに名乗りを上げた。すでに参加標準記録を突破している多田修平(20)=関学大=とケンブリッジ飛鳥(24)=ナイキ=が全体2位、桐生祥秀(21)=東洋大=は同4位、山県亮太(25)=セイコーホールディングス=は同6位で決勝に進出。5人で3枠の世界切符を争う大一番に、日本人初の9秒台の期待がかかる。

 得意のスタートに落とし穴が待っていた。「3、4歩目でつまずいて体が起き上がってしまった」と振り返った桐生は、伸びを欠いた中盤からケンブリッジに先行を許し、10秒14の2着でフィニッシュした。決勝進出も全体4位。夢の9秒台どころか24日の決勝で表彰台を逃せば、世界選手権の代表落選もあり得る状況となった。

 年下のサニブラウン、多田が好タイムを刻み、追い込まれたようにも見える桐生だが悲愴(ひそう)感はみじんもない。今季10秒0台を3度マークしている安定感が揺るぎない自信を生むのか、「ここは勝負する場所。記録会ではない」と言い切った。ミスを犯したにもかかわらず、タイムをまとめたことでむしろ手応えを得ている。

 昨年は右足にけいれんを起こして3位に終わり、リオ五輪出場権を獲得しながらも涙に暮れた。それだけに「決勝は切り替えて頑張りたい。代表権を獲得するのに僕も必死。自分の走りをしてタイムが付いてくれば」ときっぱり。記録は勝負の二の次。逆襲を予感させる力強い言葉で締めくくった。

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