多田 10秒16で大躍進の2位 得意のスタートで飛び出した
「陸上・日本選手権」(24日、ヤンマースタジアム長居)
男子100メートル決勝は、サニブラウン・ハキーム(18)=東京陸協=が10秒05の大会タイ記録で初優勝。成長著しい多田修平(20)=関学大=が2位に入り、桐生祥秀(21)=東洋大=は4位、山県亮太(25)=セイコーホールディングス=は6位に終わった。
21歳の誕生日は大躍進の記念日だ。多田は得意のスタートで安定した飛び出しを見せ、10秒16でフィニッシュ。サニブラウンに次ぐ2位に入り世界選手権行きを確実にしたが「最低限。悔しいって気持ちの方が大きかった」と率直に吐露した。
愛らしいマスクとは裏腹に「注目は有り難いし、うれしい」と断言する鋼のメンタルの持ち主だ。約2万人の大歓声に包まれながら「地元やし、楽しんで走ろう」と集中。全神経を研ぎ澄まし「真っすぐに前を見て走るだけだった」と爆発的な力を発揮した。追い風参考ながら“9秒台”を出した実力を見せつけ、日本記録10秒00を持つ伊東強化委員長も「世界選手権に出たいという思いが走りにでていた」と絶賛した。
リオ五輪が懸かった昨年のこの大会は準決勝組8着で敗退。急成長のシンデレラストーリーにも「最終目標は東京五輪。東京で決勝に行ける選手になりたい」と慢心はない。「選ばれたらロンドン(世界選手権)で準決勝は行きたい」。日本2位を証明してもなお「悔しい」と感じるダークホースの成長は、まだまだ止まらない。