ノッてる杉田 四大大会初勝利!苦節11年…得意の芝で悲願達成
「テニス・ウィンブルドン」(4日、ロンドン)
男子シングルス1回戦で、前哨戦となったトルコのアンタルヤ・オープンでツアー大会初優勝を飾った世界ランク44位の杉田祐一(28)=三菱電機=は、主催者推薦で出場した同232位のブライダン・クライン(英国)を7-6、6-3、6-0で下し、5度目の四大大会本戦で初勝利を挙げた。杉田は2回戦で、前哨戦の決勝で破った世界51位のアドリアン・マナリノ(フランス)と再び顔を合わせる。
2006年10月にプロに転向し、5度目の四大大会本戦で悲願の初白星を手にした瞬間、杉田はわずかに表情を緩めただけだった。「意外と冷静。まだまだここでは終わらないという気持ちが強かった」。勢いに乗る男は、得意の芝のコートでストレート勝ちした。
アンタルヤでの前哨戦で優勝した後は宿泊せず、深夜に飛行機に乗り、2日早朝にロンドンに到着した。中2日で臨んだ初戦。前哨戦の芝に比べ「(球足が)非常に遅かった」とリターンにてこずった。
第1セットは相手の角度のあるサーブを崩せず、ドロップショットにも苦しんだ。タイブレークで5-5に追い付かれたが、最後はミスを誘って先取した。「第1セットを取れて気持ち的に余裕があった」。第2セットからは違和感が出た右膝の影響で動きが鈍った相手に対し、伸びのあるショットで攻め立てた。
試合後、偶然出会った元世界ランク1位で、今大会最多7回の優勝を誇るロジャー・フェデラー(スイス)から声を掛けられた。「『おめでとう』と言ってもらえてうれしい」。松岡修造が92年に記録した46位を超え、錦織圭(日清食品)に次ぐ日本歴代2位の世界ランク44位になった28歳の遅咲きは、元世界王者にも認められる存在になった。
2回戦は、前哨戦の決勝で破ったマナリノと再び顔を合わせる。1回戦で第19シードのフェリシアノ・ロペス(スペイン)を速いラリーで押し込んだ因縁の相手に対し「(球足が速い)特殊なこのサーフェスで、左利きの特殊なプレーはかなり難しい戦いになる。最高の準備をしたい」と意気込んだ。
「自分のホームである芝ではかなりのパフォーマンスが出せる。自分を最大限に表現していきたい」。あふれる自信をみなぎらせ、テニスの聖地でさらなる高みを目指す。