乾、シンクロソロFRで4位に達成感ともどかしさ「思い残すことなく出し切れた」
「水泳・世界選手権」(19日、ブダペスト)
シンクロナイズドスイミングのソロ・フリールーティン(FR)決勝で乾友紀子(井村シンクロク)は92・0667点で4位だった。スベトラーナ・コレスニチェンコ(ロシア)が96・1333点で優勝した。18日の第5日はシンクロナイズドスイミングのデュエットFR予選が行われ乾、中牧佳南組(井村シンクロク)は92・6000点で4位となり、上位12組による20日の決勝に進んだ。
燃え尽きるまで命を懸けて舞う鳳凰(ほうおう)を、情熱的に演じきった。ソロFRで2014年からこなしてきたこのテーマを泳ぐのは、これが最後。円熟味あふれる演技を披露し、乾は「思い残すことなく、出し切れた」。ただテクニカルルーティンに続き表彰台は逃した。表情には達成感と、力を尽くしても変えられない序列へのもどかしさが交錯した。
水中まできれいに見える澄み切った屋外プール。3年前と比べて筋肉質になった脚で切れのある脚技を見せ、指先までこだわったしなやかな動きも秀逸だった。トップクラスのソリストたちに見劣りしない名演だった。
日本代表の指導に復帰した井村ヘッドコーチが、まな弟子の乾に最初に授けたのがこのFRだった。雅楽師の東儀秀樹さんら巨匠に曲作り、振り付けを依頼。難易度が高く、当初は井村氏に「おぼれた鳳凰」と皮肉られたこともあったが、レベルの高いソロでメダル争いに加われるほどに成長した。乾は「最初は自分がソロをやって大丈夫かなという心配もあったが、レベルアップできた」としみじみ語った。