大橋悠依 日本新で銀メダル 竹内結子似21歳「まさか」の新星
「水泳・世界選手権」(24日、ブダペスト)
競泳の女子200メートル個人メドレーで初出場の大橋悠依(21)=東洋大=が2分7秒91の日本新記録で銀メダルを獲得した。今大会の競泳で日本勢初のメダル。日本記録を0秒54更新した。リオデジャネイロ五輪3冠のカティンカ・ホッスー(ハンガリー)が2分7秒00で3連覇した。女子100メートルバタフライの池江璃花子(ルネサンス亀戸)は57秒08で6位に終わった。また、25日の第12日に行われた男子50メートル平泳ぎ予選は、小関也朱篤(ミキハウス)が27秒21の日本新記録を出して全体の10位となり、準決勝に進んだ。
遅咲きのニューヒロインが鮮烈な世界デビューを飾った。初出場の大橋が、リオ五輪女王ホッスーと0・91秒差の2位で銀メダルを獲得。自己ベストを2秒以上更新して日本新記録を樹立し、「タイムにもびっくりしたし、『まさか』って気持ちが大きかった」。ゴール直後は何度も水面をたたき、信じられないとばかりに目を丸くして電光掲示板を見つめた。
女優・竹内結子似の21歳。素顔は学校の教室や実家で、音楽に合わせて歌いながら踊る明るい女子だ。嵐の大ファンで慣れない海外遠征にはライブDVDを持参。「練習で苦しい時は嵐の曲が頭に流れて頑張れる」と笑う。最近では欅坂46の「サイレントマジョリティー」のダンスを踊り“マジョリーナ”という愛称をつけられるなど周囲のムードメーカーだ。
苦難を乗り越えて、今がある。大学2年の15年秋、体調不良が続き、「極度の貧血」と診断された。引退も考えるほど悩んだが、服薬やサプリメントの摂取で回復し、母・加奈枝さんも鉄分の多いひじきを混ぜたハンバーグを実家から冷凍で送るなど食生活を支えてくれた。北島康介らを育てた平井伯昌監督の猛練習にも耐え、大学4年で一気に才能が開花。「いろいろ苦しんできてよかった」と感慨をにじませた。
今大会日本勢初のメダルを獲得し、得意の400メートルは今季の世界ランク1位で臨む。「前半からぶっ飛ばして、いい色のメダルを取りたい」。世界のトップ戦線に躍り出たシンデレラガールが一気に頂点へ駆け上がる。