夏季五輪24年パリ、28年ロス 巨額支援金条件でロス市長が断
2024年夏季五輪招致をパリと争っていたロサンゼルスの招致委員会は31日、24年大会をパリに譲り、28年大会の開催を受け入れると発表した。20年東京五輪に続く2大会は既定路線だったパリ、ロサンゼルスの順になることが確実となった。9月にリマで開く国際オリンピック委員会(IOC)の総会で正式決定する。パリは100年ぶり、ロサンゼルスは44年ぶりで、ともにロンドンと並ぶ最多3度目の開催となる。
記者会見が行われたロサンゼルス近郊のサッカー場には五輪に出場した米国の女子サッカー選手らも出席し、スタジアムのスクリーンには「LA 2028」の文字が映し出された。「28年に五輪がロサンゼルスに戻ってくる。今日、われわれは大きな一歩を踏み出す」。ロサンゼルスのガーセッティ市長の声が、澄み切った青空に響き渡った。
24年五輪招致は巨額の財政負担に対する反発で撤退する都市が相次ぎ、最終的にパリとロサンゼルスしか残らなかった。五輪憲章では、開催都市決定は基本的に大会の7年前と定めているが、IOCは11年後の28年大会の開催都市も決める例外的措置を決定。24年大会をパリに譲る決断を下したガーセッティ市長はIOCとの交渉を振り返り、「見送るには良すぎる条件を示された」と述べた。
ロサンゼルスはIOCから、昨夏のリオデジャネイロ五輪の拠出金15億ドル(約1650億円)を上回る18億ドル(約1980億円)の支援を受ける。IOCはさらに大会で剰余金が発生した場合の20%の取り分も放棄し、その分は大会組織委員会に渡る。招致委のワッサーマン委員長は「ロスにとって大きな勝利だ」と声高に訴えた。
招致委は今後、市議会と米国オリンピック委員会の承認を得た上で、IOC、パリを含む3者で最終合意に向けて協議する。IOCのバッハ会長は「ロサンゼルスの決定を歓迎する。8月中に3者で合意できると強い自信を持っている」との談話を発表した。