【朝原宣治の目】サニブラウンはものすごいチャンス!本当に決勝で勝負できる

 「陸上・世界選手権」(4日、五輪スタジアム)

 男子100メートル予選(上位24人=各組3着までとタイム上位6人=が準決勝進出)が行われ、日本選手権王者のサニブラウン・ハキーム(18)=東京陸協=は、自己記録に並ぶ10秒05の2組1着で5日(日本時間6日未明)の準決勝に進んだ。ケンブリッジ飛鳥(24)=ナイキ=は4組4着の10秒21、多田修平(21)=関学大=は6組4着の10秒19でともに予選を通過した。日本勢3人が準決勝に進出するのは五輪、世界選手権を通じて初めて。世界記録保持者で今大会を最後に引退するウサイン・ボルト(ジャマイカ)は多田と同じ6組で、10秒07の1着だった。

   ◇  ◇   

 いやー、すごい。日本の3選手全員が準決勝に進みました。周りに強い選手がいても落ち着いて走るのが伝染して…若いヤツら、すごいです!

 サニブラウン選手は世界のトップ選手みたい。決勝の常連みたいな走りでしたね。今回、結構取りこぼしてる選手もいて、ものすごいチャンスだと思いますよ。日本選手権で初優勝したときに「世界選手権の決勝で戦えるレベル」とお話ししましたが、本当に勝負できそうです。

 日本選手権で10秒05を出したことを自分の中で消化していて、今日も最後は余裕を残して10秒05。この予選で自分のレベルが上がったことを確認できたはず。多分準決勝でも、当たり前のように決勝に進むレースができるでしょう。彼の場合、たとえ5位とかに入ったとしても「メダルが取れなくて残念でした」と言うのが想像できますよね。意識のレベルでもかなり上の方にいて楽しみです。

 多田選手は初めての舞台でしたが、自分の走りができていました。ボルト選手の横のレーンで他の組とは違った大声援の中で走ることを心配していたんですが、全く心配なかった。得意のスタートはもちろん、中盤が非常に良かった。躍動感があって、足の回転もすごく良かったです。

 後半さらに回転を出そうとして空回りした感じがありましたが、これまでのレースでは周りから(前に)行かれるような選手がいなかったはず。そんな中で体がパニックを起こすこともなく、大したものです。準決勝ではもう少し落ち着いていけるでしょう。

 ケンブリッジ選手もスタートは良かったですが、両隣にウジャ(英国)、蘇炳添(中国)と強い選手がいて非常に走りにくかったでしょうし、力を出し切ったかという点では不本意でしょう。彼の場合は日本選手権でケガ(右太もも裏に違和感)をして治す作業があった。治って走れるようになっても、レース勘はちょっと違う。予選で1回走って、体も大丈夫とわかったはず。準決勝はうまく調整してほしいですね。

 予選が終わりましたが、ボルト、ガトリン(米国)がいて、コールマン(米国)も順調。イギリスの2人(ウジャ、プレスコッド)も調子がいい。(2組でサニブラウンに続いて2着の)ヨハン・ブレーク(ジャマイカ)もあんなもんじゃないでしょう。(3組4着の)シンビネ(南アフリカ)も化けてくるはず…。数えていると8人を優に超えますが、サニブラウン選手はそこに十分入っている。決勝進出者に数えられます!(08年北京五輪男子400メートルリレー銅メダリスト、「NOBY T&F CLUB」主宰)

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