ボルト、執念の胸突き出しも届かず…痛恨の出遅れ「スタートが私を殺した」
「陸上・世界選手権」(5日、ロンドン競技場)
男子100メートル決勝が行われ、今大会で現役引退を表明している“人類最速の男”ウサイン・ボルト(30)=ジャマイカ=は9秒95で3位に終わり、個人種目ラストランを飾れず、最速伝説に終止符が打たれた。アテネ五輪金メダリストのジャスティン・ガトリン(35)=米国=が9秒92で優勝。新星のクリスチャン・コールマン(21)=米国=が9秒94で2位だった。
あのボルトが最後は必死だった。前を行くコールマンをガトリンとともに猛追。これまで余裕しゃくしゃくでゴールを駆け抜けてきたボルトが、最後は思い切り胸を突き出した。それでも届かずに3位。「この場所は素晴らしかった。観客に感謝したい」。これが個人種目のラストラン。スタジアムを一周し、歓声に応え続けると、最後はゴール付近のトラックに祈りを捧げて、別れのキス。そして、恒例の“ボルトポーズ”を繰り返した。
敗因は今大会苦しみ続けてきたスタートだった。反応タイムは8人中7位の0秒183。かつてのような中盤以降の圧倒的な強さが影を潜める中、この出遅れは痛恨だった。予選からスタートブロックへの不満を口にしてきたが「スタートが私を殺した。ラウンドを重ねれば良くなると思ったが駄目だった」と、首を振った。
残るは400メートルリレーのみ。通算12個目の金メダルで有終を飾れるか。