サニブラウン「やらかした」 スタート直後につまずき痛恨7着

 「陸上・世界選手権」(5日、五輪スタジアム)

 男子100メートル準決勝が行われ、日本選手権短距離2冠で、日本人初の決勝進出と9秒台の期待が懸かったサニブラウン・ハキーム(18)=東京陸協=は、スタート直後のつまずきが響き、10秒28の2組7着で敗退した。多田修平(21)=関学大=は10秒26で3組5着、ケンブリッジ飛鳥(24)=ナイキ=は10秒25で1組6着で、史上初めて3人が準決勝に進んだ日本勢だったが、全員が準決勝敗退に終わった。

 もはや笑うしかなかった。ゴール後、天を仰ぎ、しゃがみ込んでうなだれ、ひとしきり感情を吐き出した後、取材ゾーンに現れたサニブラウンは自嘲気味に笑いながら言った。

 「いや~、やらかしましたね。盛大にやらかしました」

 日本人初のファイナル進出への期待を背負った準決勝。スタートから4歩目でバランスを崩した。序盤の出遅れを挽回しきれずに、7着。突破すれば史上最年少記録だった決勝の舞台は夢と消えた。

 大一番を見据えた直前の修正が裏目に出た。自己ベストタイの10秒05をマークし、抜群のスタートに見えた4日の予選だったが、「反応は良かったんですけど、背中がふくれあがってから足が動いていた。それをコーチと一緒に修正しようという話になった」。昨冬から師事する世界的な名コーチのレイナ・レイダーコーチと、よりよい形を求めて挑んだが「おそらくいい角度で出れているんですけど、それに足がついてこなくて、つまずくことになったのかな。そこが至らなかったですね」と痛恨の不発に終わった。

 予選を終えた段階で、サニブラウン自身は、周囲を遥かに超える手応えをつかんでいた。「行ける気しかしなかった。決勝に行って、メダルまで…。下手したらいける、狙えるんじゃないかと思ってた」。準決勝のレースを終えても、その気持ちは変わらなかった。「全然いけたと思うし、ああいうレースはもったいない。悔しいということしかない」と、本気で可能性を感じていたからこそ、心の底から悔しかった。

 決勝を逃し、憧れの選手でこの種目が個人ラストランだった“人類最速の男”ボルト(ジャマイカ)と競演する機会は、最後まで巡ってこなかった。「悔しいですね、やっぱり。一度ぐらいは走りたかったですけど」。ただ、もはやサニブラウン自身が“ネクスト・ボルト”の有力候補であることは間違いない。「過ぎたことはしょうがない。この敗因を今後に繋げたい」。次は7日からの200メートル。ボルトがいなくなったトラックで、次代の主役として名乗りを上げる。

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