羽生 神プログラム再び 66年ぶり五輪連覇へ 平昌フリーは「SEIMEI」

 フィギュアスケートソチ五輪男子金メダリストの羽生結弦(22)=ANA=が8日(日本時間9日)、拠点とするカナダのトロントで練習を公開し、平昌五輪シーズンのフリーで「SEIMEI」を2季ぶりに再演すると明かした。ショートプログラム(SP)は「バラード第1番」で、こちらも14-15、15-16年に使用したナンバー。五輪王者として過ごした全てを糧に、進化した羽生で連覇に挑む。

 青々としたトロントの空以上に晴れやかで決意に満ちた表情を浮かべ、羽生は語る。「迷いなく決めました」。66年ぶりの五輪連覇を目指す今季、ともに戦うフリーは15-16年に使用した「SEIMEI」。1年以上前から心に決めていた。

 映画「陰陽師」をモチーフとしたナンバーで、15年11月のNHK杯では史上初となるフリー200点超えを達成。続く12月のGPファイナルでは219・48点をマークし、世界歴代最高得点(当時)を立て続けに更新した最強の勝負曲だ。

 再び氷上に舞い降りた安倍晴明。進化も明解だ。一昨年はトーループとサルコーの2種類3本だった4回転ジャンプを昨季のフリーではループを加えた3種類4本に増やし、今季は3種類5本とした。さらに5本中3本は基礎点が1・1倍となる後半に組み込んだ。

 転機は昨季最終戦となった4月の国別対抗戦。羽生はフリーの序盤で4回転サルコーを失敗したが、挽回のために後半3度の4回転に挑戦し、意地で3度全てを着氷させた。「(後半に3本の4回転を)入れることに手応えを感じているし、試合でできたからこその自信もある」

 とはいえ全体を見ると、かつてない高難度プログラム。ジャンプの基礎点のみを単純比較しても今季の方が10点近く高くなる。「同じ曲で同じ流れの中だけど、まったく難易度の違うモノをやっている。同じだからこそ、一歩先のことをやっている時点で違うのかなと思う」。新境地を切り開く覚悟で臨む。

 SPは既にアイスショーで披露したショパンの「バラード第1番」で勝負だ。3季目となるが、15年のGPファイナルでは「SEIMEI」と合わせてSP、フリーともに完璧な演技を披露し、合計の世界最高得点330・43点を記録した“ゴールデンコンビ”。こちらも後半のジャンプの比重を増やし、高得点を狙う。

 最高のフィナーレは最高記録を更新し、五輪連覇を達成すること。「超えないと」と羽生が言うように、難度が上がった分、予定通りの演技ができれば更新は必然だ。それでも「あまりプレッシャーはないですね。むしろこれで出せたから大丈夫という自信はある」と羽生。すがすがしいほど壮大な挑戦が、ついに幕を開けた。

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