【朝原宣治の目】異変なく走れていれば面白い順位だったのでは
「陸上・世界選手権」(10日、ロンドン競技場)
男子200メートル決勝が行われ、同種目史上最年少の18歳5カ月で決勝に進んだサニブラウン・ハキーム(東京陸協)は20秒63で7位となり、日本選手団今大会入賞1号となった。
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サニブラウン選手は世界のトップ選手と対等に戦えていました。準決勝では速くなかったリアクション(スタート反応速度)を修正し、いい角度で飛び出し、攻めの姿勢でカーブを抜けていきました。直線に入って右脚に違和感が出て失速しましたが、最後まで異変なく走れていれば、面白い順位でフィニッシュできたのでは。
シニアの世界大会では初めて100メートル、200メートルの2種目に出場して、本人が想定していた以上の疲労感があったんだと思います。ただこの年齢で、このレベルの舞台を経験できたことは非常に大きい。これからの彼の陸上人生に大きな影響を与えるはずです。
2020年の東京五輪はもちろん、その前年の世界選手権でのメダル獲得に期待がかかります。本人は金メダルを目指していることでしょう。200メートルの走りを見る限り、そのチャンスも十分にあります。秋からは米国の名門、フロリダ大に進学するとあって、環境が大きく変わります。せっかく今、いい感じで成長しているのですから、継続してやっていってもらいたいと思います。
(08年北京五輪男子400メートルリレー銅メダリスト、「NOBY T&F CLUB」主宰)