文田、グレコローマンスタイルで34年ぶり金 「めちゃくちゃ気持ちよかった」
「レスリング・世界選手権」(22日、パリ)
男子グレコローマンスタイル59キロ級の文田健一郎(21)=日体大=が決勝でミランベク・アイナグロフ(カザフスタン)に2-1で競り勝ち、初出場で優勝を成し遂げた。日本男子の優勝は83年大会グレコローマン57キロ級の江藤正基以来34年ぶりで、グレコでは史上4人目の快挙。日本協会によると、21歳8カ月の文田は五輪、世界選手権を通じ、日本人のグレコ最年少王者となった。
歴史の扉をこじ開けた。文田が日本男子で34年ぶりの金メダルを獲得。優勝が決まると日の丸を背負ってマットを1周し「めちゃくちゃ気持ちよかった」と満面の笑みを見せた。
アルメニア選手との2回戦で決めた豪快な反り投げが真骨頂だ。「一番自信があって、土壇場でもかかる技」という武器は決勝のように相手に警戒された他の4試合では出せなかったが、根気よく前に出てポイントを奪った。
父の敏郎さんは山梨・韮崎工高で監督を務め、12年ロンドン五輪金メダルの米満達弘を育てた。レスリングを本格的に始めた中学1年から技術をたたき込まれた。「柔道、相撲も豪快に投げるからこそ人気があるのだと思う」と敏郎さん。タックルを中心に攻撃するフリーとは対照的に、グレコは豪快な投げが最大の見せ場。息子もその思いに共鳴し、同じ理想を追い求める。
今大会は5試合を闘い、テクニカルフォール勝ちは1試合だけ。世界王者になっても「もっと投げたかった。まだまだ実力不足」と文田は言う。東京五輪の金メダルを狙う21歳の向上心は尽きない。