“沙保里2世”18歳奥野春菜初出場V 東京の「55キロ級」に名乗り

 「レスリング・世界選手権」(23日、パリ)

 女子4階級が行われ、非五輪階級の55キロ級は「沙保里2世」と呼ばれる18歳の新鋭、奥野春菜(至学館大)が決勝でオドゥナヨフォラサデ・アデクロイエ(ナイジェリア)を5-4で下し、初出場優勝の快挙を成し遂げた。日本勢は男子グレコローマンスタイル59キロ級の文田健一郎(21)=日体大=に続く二つ目の金メダル。75キロ級は鈴木博恵(30)=クリナップ=がエストニア選手との3位決定戦を制し、銅メダルを獲得した。

 金メダルが決まると、あどけない顔を涙でくしゃくしゃにした。初出場優勝を達成した奥野は「ほっとしている」。重圧から解放され、秘めていた感情が一気にほとばしった。

 4月の大会で53キロ級代表の向田真優(至学館大)に敗れた翌日、栄和人監督から五輪で実施されない55キロ級への階級変更を打診された。「悔しかった」が、すぐに気持ちを切り替えた。世界選手権代表選考会を兼ねた6月の全日本選抜選手権の前日、栄監督に無料通信アプリ「LINE」で決意を示した。「優勝して必ず世界に行きます」-。

 5-4で振り切った決勝以外はテクニカルフォール勝ちや無失点勝ち。得意のタックルから畳み掛ける攻撃的なスタイルが光ったが「今回は勝ちにこだわった。内容はまだまだ」と世界女王となっても自己評価は辛口だ。

 目指すのは3年後の東京五輪。階級によっては、大学の先輩の向田や尊敬する吉田沙保里(至学館大職)と代表を争う可能性がある。18歳の新星は「レベルの高いところでやり合って、自分もどんどん強くなる。挑戦し続けるだけ」と力を込めた。

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