伊東浩司氏「地鳴りのような歓声。これが9秒台なのか」 歴史的瞬間見届けた
「陸上・日本学生対校選手権」(9日、福井県営陸上競技場)
男子100メートル決勝で桐生祥秀(21)=東洋大=が9秒98の日本新記録を樹立し、日本人で初めて「10秒の壁」を破った。
日本陸連の伊東浩司強化委員長(47)は、歴史的瞬間をスタンドから見届けた。1998年バンコク・アジア大会でマークした日本記録10秒00が破られた瞬間の雰囲気に「地鳴りのような歓声だった。これが9秒台なのか」と19年の重みをかみしめた。
9秒台の原動力は「桐生君の意地だと思う。多田君に前に出られていつもなら硬くなる場面。壁を乗り越える瞬間を見させてもらった」と進化を認めた。また「(13年に10秒01を出してから)4年間よく我慢した。たった100分の3秒かもしれないけど、その100分の3秒に4年かけて結果になった。ここからより世界を目指し、タイムにふさわしい人格のアスリートになってほしい」とさらなる飛躍を期待した。
世界選手権でのサニブラウンの活躍など、日本スプリント界は活気にあふれている。伊東氏は「世界と勝負するスタート。9秒に入って初めて世界と戦える。これに続いて9秒台を1人でも多く出してもらい、東京五輪を迎えたい」と期待した。