大砂嵐、急死の恩人・友鵬さんに捧げる初日白星
「大相撲秋場所・初日」(10日、両国国技館)
十両の大砂嵐(大嶽)が天国の恩師に白星を捧げた。8日に日本相撲協会の世話人を務めていた友鵬勝尊(ゆうほう・まさたか)氏が虚血性心不全のため60歳で急死。同氏には相撲はもちろん、日本での生活面も含め、すべてを教わった。「いい思いしかない。いろんなことを全部覚えている」と、悲しみをこらえ土俵で力を振り絞った。
教わった相撲をぶつけた。立ち合い、鋭く琴恵光(佐渡ケ嶽)に当たると突き押し、のど輪で一気。土俵際、粘る相手を執念で押し出した。
11年に来日時、何も分からない自身に「私の足を持って四股をやり方から教えてくれた」と言う。場所が終われば、いつも寿司を腹一杯食べに連れて行ってくれた。
「(亡くなったことが)今でも信じられない。早く起きて」と悲痛。夏巡業時、一緒のタクシーに乗り、65歳定年後の話を聞いた。「(故郷の沖縄)宮古島で海の前に座ってリラックスする、と言っていた。友鵬さんは『宮古島に戻っても忘れないで』って。『絶対に忘れない』と言った」と、思い出はとめどなくあふれ出た。
厳しい中に温かさがあふれた。「疲れて落ち込んだとき『この野郎、疲れるために日本に来たのか、頑張れ、頑張るしかない』」といつも励ましてくれた。特別な15日間。「一番一番、力を出す。『友鵬さん、ありがとう』って」と、上だけを向いた。