理論派・土江コーチに感覚派・桐生がキレたことも…紆余曲折の二人三脚

 陸上男子100メートルで日本人初の9秒台となる9秒98をマークした桐生祥秀(21)=東洋大=を指導する土江寛裕コーチ(43)が10日、改めて感慨に浸った。入学から3年半、紆余(うよ)曲折を経ての悲願達成。ここまで二人三脚の歩みは、決して常に足並みはそろっていたわけではなかった。

 指導の中で桐生に反発されたこともある。入学したばかりの大学1年生の春先。細かい指導をする土江コーチに桐生がキレた。「あなたは自信がない!」。理論派の土江コーチと、感覚派の桐生。何事にも根拠を求め、慎重なコーチを桐生は問い詰めた。「俺は五輪でファイナリストになりたい。そうするとここで誓え」。黙り込んだ。「実際、自信がなかったんだと思う」と同コーチ。けがも重なり、口を利かない時期もあるなど不安定の時期もあった。今はしっかりとした信頼関係を構築。「よくここまできたな」と、柔らかな表情で振り返った。

 現在、桐生は卒業後の進路として複数の企業と交渉中。同コーチは「プロではなく、企業に所属する形で考えている」と、明かした。ただ、卒業後もタッグは継続し、練習拠点は東洋大に置く。しっかりと紡ぎあわされた絆で、さらなる“最速”を求めていく。

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