琴奨菊3連勝初金星 史上最長76場所目 脱力日馬富士を電車道

 「大相撲秋場所・3日目」(12日、両国国技館)

 7年ぶりに平幕に陥落した琴奨菊が横綱日馬富士を寄り切り、初金星を挙げた。新入幕から76場所での初金星は68場所の豪風を超えて昭和以降、最長記録。元大関の金星は08年秋場所の雅山以来となった。初日からの大関連覇に続く意地の勝利で3連勝とし、10場所ぶり2度目の優勝へ勢い十分だ。一人横綱の日馬富士は待ったを訴えたが認められず、手痛いミスで初黒星。3日目を終えて全勝力士は平幕だけとなった。

 待ったと思い、勝手に力を抜いた日馬富士を琴奨菊は電車道で寄り切った。「立ち合いは成立した」。絶頂と失意を味わい尽くした33歳にとって、どんな勝利にも価値はある。

 「勝負は何が起きるか分からない。素直にうれしい。(立ち合いは)タイミングが遅くなったけど呼吸もあるから何とも言えない。ああいう相撲になったけど上手を取る準備はしていた」と胸を張った。

 元大関のプライドが全開だ。初日から豪栄道、照ノ富士をがぶり寄りで連破。そして33歳7カ月にして自身初の金星。昭和以降の新入幕では史上最長76場所での獲得となった。

 昨年初場所で日本出身力士では10年ぶりの優勝の歓喜に沸いた。そこから1年8カ月、大関を失い、7年ぶりに平幕に陥落。屈辱を胸に「決めたことをやり抜く」と原点回帰し、はい上がって来た。

 「この勝ちを次につなげていく。できることしかできない。しっかり勝っていくように準備するだけ」と気負いはない。

 初日から3横綱が不在でこの日は大関高安、宇良まで離脱した。大荒れの秋場所で一人横綱にも土を付けた。波乱を演出し、V2ムードも十分だ。帰りは迎えに来た愛する家族の車に乗り込んだ琴奨菊。4月に誕生した長男に強いパパを見せる時が来た。

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