4横綱休場ピンチ…呪われた秋場所か 日馬3日連続金星配給「続けるしかない」
「大相撲秋場所・5日目」(14日、両国国技館)
一人横綱の日馬富士が平幕阿武咲にはたき込まれ、03年名古屋場所の武蔵丸以来、3日連続で金星を配給した。2勝3敗となり、昭和以降で初めて4横綱休場のピンチを迎えた。阿武咲は横綱初挑戦で金星を獲得し、5連勝で単独トップ。1敗で大関豪栄道ら7人が追う。かど番の大関照ノ富士は松鳳山に寄り切られて4敗目。古傷の左膝を痛め、休場の可能性も出てきた。
支度部屋に戻ると、日馬富士は悔しさと情けなさの入り交じった嘆きを響かせた。
「ハ~」「アー、クソー!!」
新鋭阿武咲のはたきに、真っ逆さまに落ちた。土俵の上にもんどり打って前方にゴロンとぶざまに一回転。「足が付いていかなかった。相手は見えていたけど…。何だろうね」と、ため息をついた。
初めて味わう一人横綱の重圧だろう。3日連続の金星献上は14年ぶりの屈辱。「体が動いているのに、いい結果につながらないのが残念。勝った方が強いわけだから」と、連勝街道を走る21歳の勢いを認めた。
3日連続の金星配給は過去13例あり、7横綱が途中休場している。日馬富士は先場所後に左肘の手術を検討するなど両肘、下半身は満身創痍(そうい)。昭和以降初となる4横綱全滅危機も忍び寄ってきた。
八角理事長(元横綱北勝海)は「最後まであきらめない姿を見せて」と悲痛な思い。館内を訪れていた横綱審議委員会の北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は「頑張ってほしい。彼はいつも体が痛くても気力で取る」と皆勤を訴えた。
照ノ富士も休場危機と、大荒れどころか呪われた秋場所。それゆえに日馬富士はより一層休めない。「続けるしかない。まだ10日もある」。使命感を背負い、全身全霊、土俵に立つ。