羽生結弦、今季初戦SPでいきなり世界最高点!思わずどや顔「質としても納得」
「フィギュアスケート・オータムクラシック」(22日、カナダ・モントリオール)
男子ショートプログラム(SP)が行われ、今季初戦に臨んだ平昌五輪で66年ぶりとなる連覇を狙うソチ五輪金メダリストの羽生結弦(22)=ANA=は、完ぺきな演技でいきなり世界最高得点を更新する112・72点をマークし、首位発進した。前世界王者で盟友のハビエル・フェルナンデス(スペイン)が101・20点をマークし、2位につけた。
2季ぶりに使用するSP、ショパン作曲の「バラード第1番」にのり、冒頭の4回転サルコーを流れのある着氷で完ぺきに決めると、後半のトリプルアクセルも文句なし。最後の4回転トーループ-3回転トーループは、後半の3回転で両手を上げる形で決めた。
右ひざに軽度の違和感を抱えているため、負担の掛かる4回転ループは回避したが、心配は無用。演技後は納得の表情でうなずき、「どうだい?」といわんばかりに両手を広げて、観客を煽った。
演技後、羽生は高得点をかみしめるように冷静に試合を振り返り「自分自身しっかりとこの構成でいい演技ができたこと、本当にミスなく、質としても納得できる演技SPを終えられた」と喜びを口にした。
4回転ループを回避する構成だったため「構成を落としているから当然と言われるかもしれない」としつつ「構成を落とそうがなんだろうが、本番で出し切るのは難しいことだと思っている。そういう意味では成長できたかなと思っています」と語った。
羽生の直近4シーズンの初戦は次の通り。
◇2013-14年シーズン フィンランディア杯
ソチ五輪シーズンの初戦はSP、フリーとも1位で、265・59点をマークし、完全優勝を飾った。フリーではサルコーとトーループの2種類の4回転ジャンプを決め、フリーと総得点ではいきなり当時の自己ベストをマーク。GPファイナル、五輪、世界選手権の3冠を獲得するシーズンを象徴するような幸先のいいスタートを切った。「まあ頑張ったかなと思う。調子が良くない中でサルコーとトーループの4回転ジャンプを決められた。後半疲れてしまったが、最後まで倒れずに滑れたのは良かった」
◇2014-15年 GP中国杯
腰痛を発症し、シーズン初戦に予定していたフィンランディア杯を欠場。GPシリーズの中国杯が初戦となった。SPでは後半のジャンプが乱れ、2位に止まり「もう最悪の一言。ひどかった」。そしてフリーではよもやのアクシデントが待っていた。直前の6分間練習中に他の選手と激しく衝突し転倒。頭部などから出血するなど大けがに見舞われた。関係者が棄権を進める中、自らの意志で再びリンクに立つと、5度の転倒があったが、驚異的な精神力で最後まで滑りきり、237・55点で2位を死守した。
◇2015-16年 オータムクラシック
SP、フリーとも1位の277・19点で完全優勝を飾った。フリーでは今季も使用する「SEIMEI」を試合で初披露。5項目の構成点ですべて9点台の高い評価を得たが、後半の4回転ジャンプで転倒し「点は思っていた以上に評価していただいたが、正直悔しい」と、悔しがった。ただ、ここで出た課題を見事に修正し、NHK杯、GPファイナルと完ぺきな演技で世界最高得点を連発した。
◇2016-17年 オータムクラシック
SP、フリーとも1位の260・57点で完全優勝を飾った。SPで、いきなりこのシーズンから組み込んだ4回転ループに世界で初めて成功すると、フリーでもループに成功した。ただ、フリーでは後半に2度転倒。「見ての通り、バテていた感じはあった。前向きな悔しさがある。次の試合はノーミスでやります。絶対に。そうじゃなきゃ羽生結弦じゃない。一皮とはいわず、十皮でも二十皮でも剥けるように追い込みたい」と、ギラリ。世界王者奪還のシーズンへと繋げていった。