羽生まさか「ぐちゃぐちゃ」SEIMEI SP世界最高から一転2位
「フィギュアスケート・オータムクラシック」(23日、カナダ・モントリオール)
今季初戦でショートプログラム(SP)世界歴代最高得点をたたき出し首位発進した羽生結弦(22)=ANA=はフリーで一転、ジャンプにミスが相次ぎ、155・52点で5位にとどまり、合計268・24点で2位に終わった。SP2位のハビエル・フェルナンデス(スペイン)が逆転優勝した。SP7位の村上大介(陽進堂)は8位。女子はSP2位の三原舞依(18)=神戸ポートアイランドク=が合計199・02点で2位だった。SP9位の新田谷凜(中京大)は6位。
再び氷上に舞い降りた安倍晴明だったが、かつての勢いは影を潜めた。2季ぶりに演じる「SEIMEI」。陰陽師(おんみょうじ)をモチーフとしたナンバーでSPに続き好発進を狙った羽生だが「いろんなことを考え過ぎてぐちゃぐちゃになった」。邪念をふりほどくことができなかった。
3回転を予定していた冒頭のルッツが1回転になったことで歯車は狂った。右膝の違和感を考慮して回避を決めていた4回転ループを「跳ぶことも一瞬考えた」と羽生。迷いながら舞い、それが演技に表れた。4回転が立て続けに2回転になると、前日のSPでは出来栄えで3点満点の加点を受けたトリプルアクセルまで転倒した。
加えて慣れない難しさもあった。普段は冒頭に全力投球の4回転ジャンプを配置するが、この日は後半に攻める構成のため力を制御しての3回転。「ある意味未体験の領域」という難しさに「力が入り過ぎた」という。
「SEIMEI」はフリーの世界歴代最高得点を連続で更新した“神プログラム”だったが、プログラム史上ワーストを記録。フリー150点台は14年NHK杯以来約3年ぶりだ。「できること全て出し切っているわけじゃないので、もっとやりたいと思った」。3年近く170点を切ったことすらなかった羽生だが、不完全燃焼のまま突き落とされた。
「悔しさっていう大きな収穫を手に入れることができた。もどかしい悔しさです」。湧き上がる強大なエネルギーを、66年ぶりの五輪連覇という偉業へと結びつける。そのためには、演技はもちろん「(右膝に)違和感を感じるような練習をしていたこと自体も僕の調整不足」と羽生。「試合までの道のりということも大きく学べた。いい初戦だったと思う」と受け止めた。最高と最悪。両極端での経験を糧に、平昌五輪へ最高の羽生結弦を作り上げていく。