内村航平の偉業は色あせない…表彰台の顔ぶれが示す異次元の強さ
「体操・世界選手権」(2日、モントリオール)
男子予選が行われ、個人総合で前人未到の大会7連覇を狙った“絶対王者”の内村航平(28)=リンガーハット=は跳馬での演技の際に左足を痛め、その後棄権した。09年大会から続いていた連覇は「6」、ロンドン五輪、リオデジャネイロ五輪を含めた世界大会連覇記録も「8」で途切れ、08年から約9年間続いていた個人総合の連勝記録も「40」でストップした。
ただ、その偉業はもはや伝説の域に達していたといっていい。過去の世界選手権、五輪の成績を並べてみると、改めて内村の“異次元”の強さが分かる。昨年のリオデジャネイロ五輪までの世界大会8連覇中の上位3人の成績は次のとおり。
◆09年ロンドン世界選手権
(1)内村航平 91・500点
(2)キールスティング(英国) 88・925点
(3)リャザノフ(ロシア) 88・400点
◆10年ロッテルダム世界選手権
(1)内村航平 92・331点
(2)ボイ(ドイツ) 90・048点
(3)ホートン(米国) 89・864点
◆11年東京世界選手権
(1)内村航平 93・631点
(2)ボイ(ドイツ) 90・530点
(3)山室光史 90・255点
◆12年ロンドン五輪
(1)内村航平 92・690点
(2)ニュエン(ドイツ) 91・031点
(3)レイバ(米国) 90・698点
◆13年アントワープ世界選手権
(1)内村航平 91・990点
(2)加藤凌平 90・032点
(3)ハンビューヘン(ドイツ) 89・332点
◆14年南寧世界選手権
(1)内村航平 91・965点
(2)ウィットロック(英国) 90・473点
(3)田中佑典 90・449点
◆15年グラスゴー世界選手権
(1)内村航平 92・332点
(2)ラルドゥエト(キューバ) 90・698点
(3)デン・シューディー(中国) 90・099点
◆16年リオデジャネイロ五輪
(1)内村航平 92・365点
(2)ベルニャエフ(ウクライナ) 92・266点
(3)ウィットロック(英国) 90・641点
10、11年に2位に入ったボイ(ドイツ)、14年世界選手権2位、16年リオ五輪3位のウィットロックを除き、表彰台のメンバーは大会ごとに入れ替わっているにも関わらず、内村だけが頂点に君臨し続けてきた。世界選手権の男子個人総合の連覇は、内村以前はシュミ(1922、26年)、楊威(06、07年)の2連覇が最高だった。技が高度化し、怪我やアクシデントのリスクも高まっている中、全6種目をこなす個人総合での世界大会8連覇。日本の“キング・オブ・ジムナスト”が成し遂げたこの偉業は、きっと永遠に語り継がれることになる。