ボクシング・嶋田亨 現役最後の大会で有終V「実力以上出せた」
10日に閉幕したえひめ国体。熱戦が繰り広げられた大会から、活躍した選手を紹介する。ボクシング成年男子の愛媛代表でフライ級の嶋田亨(28)と同ミドル級の高橋諒(26)はともに拓殖大OBで、今大会を最後に引退する嶋田は“有終V”を飾り、高橋は圧倒的な強さで国体4度目の王座に輝いた。
判定勝ちが決まった瞬間、王者の目に涙があふれた。9日に行われたフライ級決勝。引退を決意してリングに上がった28歳が「日本一」をつかみ取った。「勝っても負けても最後の3ラウンド。悔いのない試合をしようと思った。実力以上のものが出せました」。嶋田は感極まった表情で喜びを口にした。
宮崎県出身で、ボクシングの強豪・日章学園高から拓殖大に進んだ。卒業後は第一線から退いたが、愛媛県から地元国体に向けて競技力の強化を担う選手兼コーチ就任の打診があり、13年に松山市に転居。同じ拓殖大出身で2年後輩の高橋と一緒に、松山工高で指導しながら愛媛代表として選手生活を続けてきた。
ただ、近年は腰や肩などに故障が相次ぎ「昔はできていたことができなくなった」と体力の衰えを感じていた。そして昨秋の岩手国体後、「愛媛国体を最後にしよう」と決断したという。
歓喜の“有終V”のあと、「弟みたいな存在」の後輩・高橋もミドル級を制して4度目の国体優勝を達成。2人は抱き合って喜び、会場は地元勢のダブル制覇に沸き上がった。
今後については未定だが、嶋田は指導者として愛媛に残ることを希望している。「高校生を教えて、強くしたいですね」。自らの手で次の国体王者を育てるつもりだ。