「スクール☆ウォーズ」モデルの伏見工“最後の闘い”
「全国高校ラグビー京都府予選・決勝トーナメント1回戦、伏見工・京都工学院109-0城陽」(24日、京都工学院)
4度の全国制覇を誇る伏見工の“最後の戦い”が幕を開けた。学校統合により現在の校名では最後となる伏見工・京都工学院が17トライを奪う猛攻を見せ、城陽に109-0で圧勝。2年ぶり21度目の花園出場に向けた初戦で好スタートを切った。次戦は29日に京都外大西と4強進出をかけて戦う。
伝統の赤黒ジャージーが熱く躍動した。開始3分にWTB藤井健太郎(3年)がインゴールに飛び込み先制。その後も“伏工魂”の猛威はとどまることなく、前半だけで9トライを奪うと、後半にも8トライを追加。3年生メンバーだけで臨んだ初戦を109得点の大勝で飾った。
伏見工ラグビー部は山口良治監督(現総監督)の熱血指導で力をつけ、1981年に全国高校大会を初制覇。昨年10月に53歳で亡くなった元日本代表監督の平尾誠二氏は当時の3年生だった。TBS系で1984年10月から放送された人気学園ドラマ「スクール☆ウォーズ」で山下真司が演じた主人公、滝沢賢治のモデルとなったのが山口監督だ。
昨春に伏見工は洛陽工と学校統合され、新しく京都工学院として開校した。洛陽工にはラグビー部がなかったため、伏見工と新校の2校合同チームとして活動しており、現3年生が卒業する来年度以降は「京都工学院」単独チームに移行。敗退が決まると同時に「伏見工」の看板を下ろすことになる。
平尾氏とともに全国制覇を果たした前監督の高崎利明GMは「伏見のラグビーとともに育ってきた。誰よりも愛着がある」と話す。ただ「結婚して新しい姓になるのと同じ。消えてなくなるわけではない。新しい家族を作るように発展的に、次につなげていきたい」と前を向く。
そのためにも「伏見工の名前が入った赤黒ジャージーを最後は花園で終わらせたい。最後の伏見工を全国のファンも待ち望んでいる」と全国大会出場を誓う。伏見工最後の主将となるロック亀川直哉(3年)は「たくさんのOBがたくさんの歴史を積み重ねてきた。最後は全国優勝で飾りたい」と力強く言い切った。