「大相撲九州場所」（１２日初日、福岡国際センター）

　場所前恒例の二所ノ関一門の連合稽古が６日、福岡県春日市の尾車部屋で行われた。左上腕部などの負傷で秋場所を全休した横綱稀勢の里（３１）＝田子ノ浦＝は関脇嘉風（尾車）を三番稽古の相手に指名し、１０番取って８勝２敗だった。

　患部の回復状態を確認するにはスピードある相撲巧者はもってこいの相手。いきなり左差しを封じられ、右を差されて下から攻め込まれた。なすすべなく次も寄り切られて２連敗。稽古場に不穏な空気が漂ったが、持ちこたえた。

　封じられた左でハズ押し。嘉風を浮き上がらせると、パワーで押しきる。その後も左のハズ押し３連発で圧倒。８連勝で締めた。

　７月の名古屋場所前の連合稽古では、嘉風に同じように左に食いつかれ完敗。４カ月前とは全く違う状態。稽古後は「（嘉風とは）いつも良い稽古になる。良かったと思う」とうなずいた。

　視察に訪れていた元小結で相撲解説者の舞の海秀平氏は「嘉風がうまく左を使わせず苦労した。左を使う動きがもっと出て来れば安定する」と注文は付けたが、復調は十分に感じ取った。

　「左のハズ押しはだいぶ戻って来た。あと１週間、勘を取り戻して欲しい。２桁（星）は何とかいって欲しい」と評した。