稀勢の里 またまた初日負けた 得意の左差しからまさかの不覚「う~ん」

 「大相撲九州場所・初日」(12日、福岡国際センター)

 左上腕部などの負傷で先場所を全休し、再起を目指す横綱稀勢の里(31)=田子ノ浦=は前頭筆頭の玉鷲(32)=片男波=に押し出され、黒星発進となった。得意の左差しの形になりながら、痛恨の逆転負け。初日は鬼門で故障後、出場3場所連続で3連敗。5月の夏場所、7月の名古屋場所は途中休場に追い込まれているだけに、険しい復活ロードとなった。

 稀勢の里は花道で右手に持つ下がりを振り上げた。たたきつけるのはギリギリで踏みとどまったものの、悔しさ、自らへの憤りが全身にあふれ出た。過去9戦全勝(不戦敗除く)だった玉鷲にまさか逆転負けし、5個目の金星を配給した。

 先場所、土俵人生初めて全休した影響か、立ち合いの呼吸が合わなかった。1度目、突っかけて、その後は2度、突っかけられた。4度目に立ち、右張りから左差し。形は有利に持ち込みながら、ふりほどかれた。

 伝家の宝刀、左のおっつけも繰り出し、相手を押し込んだが、攻め切れない。のど輪を食らい、ズルズルと後退。最後は棒立ちになって押し出された。

 支度部屋では質問に「うーん」と何度もうなった。動きは悪くないか?と問われると「うーん、まあね」と、つぶやいた。帰り際には審判部に呼ばれ、立ち合いを合わせるよう注意を受けた。散々な122日ぶりの復帰土俵となった。

 春場所で左上腕部などを負傷しながら千秋楽に奇跡の逆転優勝。その代償は大きく3場所連続休場を余儀なくされた。故障後の初日は夏、名古屋場所に続き3連敗。またも鬼門となってしまった。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「左が入って、よしっと思ったところをふりほどかれた。もっと密着できていれば。上体だけで足からいってない。休場明けは試練の場所。(初日は)足がふわふわしている」と、全休明けの難しさを指摘した。

 昨秋同様、巡業にフル参加し、じっくり体を作り上げた。昨年九州場所は横綱を3連倒し、今年初場所の初優勝&綱とりにつながった。快進撃の再現へ、この日の朝稽古でも「いい状態に仕上がった。準備はできた」と自信満々だった。

 だからこそ痛恨1敗にも稀勢の里の言葉に悲観はない。「うまくやられた。左はいい感じ。切り替えてまたあした」。敗戦にはいつも無言を貫く男が最後に言い切った。

 2日目は21歳、阿武咲を迎え撃つ。生きのいい若武者の壁になるのは使命。食われるようなら、復活ロードに暗雲がたちこめる。

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