日馬暴行事件、不可解な経緯 事件後の2日、表敬訪問時に出場意欲…一転休場

 横綱日馬富士が起こした暴行問題を、八角理事長(54)=元横綱北勝海=も残念がった。過去に繰り返された暴行事件の反省に立ち、講習会を開くなど再発防止に努めていたこともあり、「場所中に申し訳ないという気持ちでいっぱい」と14日、コメント。一方で被害届の提出後に、暴行を受けた貴ノ岩が師匠の貴乃花親方とともに福岡県田川市の市長を表敬訪問するなど不可解な点もあり、危機管理委員会に徹底的な真相解明を求めた。

 盛り上がる相撲人気に冷や水を浴びせるような不祥事。八角理事長は「脇を締めていたつもりだが。残念ですね。場所中に申し訳ないという気持ちでいっぱい」と落胆した。

 角界には過去に暴力事件を繰り返してきた反省がある。講習会を開くなど再発防止に努めてきただけに、それが裏切られた形。それでも「対応が遅れたのではない。ちゃんとやっている。こういうときだからこそ続けないと。(力士には)まだ響かなかったのかな。でも頑張らないと」と力説した。

 とはいえ一連の経緯には不可解な点もある。貴乃花親方が被害届を提出したのは10月下旬。だが、危機管理委員会部長の鏡山親方(元関脇多賀竜)によると、警察から連絡があった11月2日に被害届の事実を知り、同3日に伊勢ケ浜、貴乃花両親方に電話でヒアリングをした際には、詳細な情報は得られなかったという。

 また広報部長の春日野親方(元関脇栃乃和歌)によると、貴ノ岩は26日以降も秋巡業に参加し、福岡入り後も田川市の宿舎で稽古。さらに2日には貴乃花親方とともに田川市長を表敬訪問し、「2桁勝つ。頑張ります」と今場所への意欲を示していたという。それだけに「まさか、休むのかと」と事態の急変に驚きを隠さない。八角理事長も「(貴ノ岩は)場所前の稽古にはきちんと出ていたみたい。きのう診断書が出て、そこまで悪かったのかと」と疑問の表情を浮かべた。

 協会は事実関係を調査するための危機管理委員会を招集した。鏡山親方は「調査はもう少し待てばことを進めますよ。警察に被害届が出ている以上は」と述べた。衝撃的ながら、謎も多い前代未聞の不祥事。相撲ファンの不安を払拭(ふっしょく)するためにも真相の究明が待たれる。

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