稀勢の里 引退危機 4場所連続休場…史上最短在位横綱となってしまうのか

 「大相撲九州場所・10日目」(21日、福岡国際センター)

 横綱稀勢の里(31)=田子ノ浦=が日本相撲協会に「腰部挫傷、左足前距腓靱帯(ぜんきょひじんたい)損傷で約1カ月間の安静加療を要す」との診断書を提出し、休場した。9日目までに史上ワーストタイの1場所5金星を配給し、4勝5敗だった。休場は4場所連続5度目となり、次回出場場所に進退が懸かることは必至。横綱在位5場所で早くも引退の危機に立たされた。

 今年誕生したばかりの日本出身横綱が、早くも引退の窮地に追い込まれた。稀勢の里は左上腕部負傷からの復活を目指していたが、今度は腰と左足首の故障を理由に休場した。痛めた患部をかばううちに、さらなる故障を誘発する悪循環。肉体面の不安を露呈する中、これで4場所連続休場となり、次場所に進退を懸けることは避けられなくなった。

 この朝、田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)は、稀勢の里の状態について「腰をかばって足が前に出ない」と苦しい表情で説明。前夜に話し合った結果、本人から「すいません。あしたから休場してもいいですか」との申し出があったという。

 今場所は初日に玉鷲に不覚を取ったものの、その後2連勝。5日目には松鳳山、6日目に栃煌山を退け、星が4勝2敗になった時点では「悪くはない。集中してしっかりやります」と復活への手応えを口にしていたが、7日目以降は3連敗と暗転した。

 3場所休んだ影響で体が鈍っており、相撲勘を取り戻す意味でも出場を続ける選択肢もあったが、足首や腰に痛みがある状態で、同親方は「本人の考えと違う結果(負け)が出ている。何もせずに(けがを)治すのは難しい」と治療に専念する考えを示した。

 八角理事長(元横綱北勝海)は、「横綱としての成績を残さないとダメ」と、次場所で結果が出ない場合は進退の決断を迫られることを示唆。一方で、自身も横綱時代、4場所連続休場の経験が2度あるだけに「あまり自分にプレッシャーをかけすぎても力を出せない。(自分は)優勝はその次の場所でいいと思っていた。体を15日間戦えるようにつくり直すのが大事」とアドバイスを送った。

 横綱在位6場所目となる来場所で引退となれば、年6場所制が定着した1958年夏場所以降、同8場所の琴桜、三重ノ海、双羽黒を下回り史上最短となる。後世に汚名を残さないためにも、もう一度輝きを取り戻す。

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