北勝富士あるぞ逆転初V! 2敗死守 平幕25歳快進撃

 「大相撲九州場所・13日目」(24日、福岡国際センター)

 快進撃を続ける25歳、平幕の北勝富士(八角)が関脇嘉風を持ち前の低い姿勢で寄り切り、2敗を守った。八角部屋の兄弟子、平幕隠岐の海は栃ノ心を下手投げで破り2敗をキープした。優勝争いのトップを走る横綱白鵬は平幕宝富士をはたき込んで1敗を死守。白鵬は年間54勝目で、2年ぶり10度目の年間最多勝を確定させた。14日目に白鵬が勝ち、2敗の平幕2人が敗れれば白鵬の2場所ぶり40度目の優勝が決まる状況で、同部屋の2人が自身初の幕内優勝を目指し、白鵬の背中を追いかける。

 ピンチにも動じなかった。北勝富士は立ち合い嘉風に左差しを許したが、落ち着いて右へ回り込みながら突き放して出た。次の瞬間には右を差し、左で抱え、最後は腰を落として寄り切った。

 「イメージとは違う勝ち方だった。本当は突き放していきたかったけど、中に入られた時は危なかった。自分の調子がいいので何とか勝てた」

 少年相撲時代から頭をつけて下から攻める相撲を体に覚え込ませてきた。今場所の好調は自分のスタイルに自信を持てるようになったことが大きい。「今日も最後まで前掲姿勢を崩さずに取れたのがよかったと思う」と勝因を自己分析した。

 発奮材料にも恵まれている。七つ年上の兄弟子・隠岐の海は、自分の8番前に栃ノ心を破って2敗を死守。「関取(隠岐の海)がすごい笑顔でこっち(支度部屋)に帰ってきた。お先に!!みたいな感じで。それを見て、よし、こっちもやってやろうと思った」と、うれしそうに話した。

 白鵬とは星一つの差。勝ち残りで、結びの白鵬の危ない相撲を見た時の感想を聞かれると「(宝富士)いけっ!!と思った。人間ですから。誰もが思ったんじゃないですか。でも、やはり横綱は凡人とは違う」と、本音も口にした。

 師匠の八角理事長(元横綱北勝海)は日馬富士の暴行問題への対応に追われている。その中で、まな弟子2人については「よく頑張っている。一生懸命やっているよ」と目を細める。

 大関、横綱の器量を持つ大器。近い将来、大関昇進が実現すれば、埼玉県所沢市の地元後援会が西武鉄道の航空公園駅前に銅像を建ててくれることになっているという。「優勝は考えていない。本当にあと2日間精いっぱい、一生懸命に取るだけ」。平幕優勝は12年夏場所の旭天鵬が最後。可能性がある限りあきらめず、全力で土俵を務める。

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