白鵬 前人未到V40「言葉にならない」 日馬暴行問題、物言い騒動…揺れた九州場所

 「大相撲九州場所・14日目」(25日、福岡国際センター)

 横綱白鵬が13勝目(1敗)を挙げ、自身の持つ最多記録を更新し、前人未到の大台40回目の優勝を果たした。2敗で追っていた平幕の隠岐の海、北勝富士がそろって敗れ、結びの一番で平幕遠藤を押し出して決めた。千秋楽を待たずの優勝も自身の最多記録を更新する18回。今年55勝目を挙げ、2年ぶり年間最多勝を単独で獲得した。横綱日馬富士の暴行問題に大揺れの場所で、ざんげの気持ちを胸に1人横綱の重責を果たした。

 館内のやや優勢な遠藤コールに白鵬が鬼の形相となった。勝てば優勝の結びの一番。左で張って、必殺の右カチ上げで相手はグロッキー。左のど輪で一気に押し出した。2場所ぶりV40が決まり、大歓声と拍手に包まれた。

 支度部屋で水を飲み干すと「うまい!」と緊張から解放されたような第一声。「言葉にならないほどうれしい」とかみしめた。

 異常な日々だった。3日目に日馬富士の暴行問題が勃発し、その酒席には自らも同席していた。16日には「(日馬富士の)殴打にビール瓶は使われていない。馬乗りにもなっていない」と証言。今場所後には参考人として鳥取県警の聴取を受ける予定で、騒動とは無縁ではなかった。

 初日から10連勝したが11日目に関脇嘉風に敗れた際、土俵下から1分以上も“物言い”をアピール。品位を欠く醜態に大批判を浴びた。崩れなかったのは7年前、どん底だった角界を知るからだ。

 2010年の野球賭博問題でファンが離れ、観客はガラガラだった。「7年前、大変な場所を経験した。こういうことがないようにと思ったけど、本当に申し訳ない」と当時を思いざんげ。それでも15日間大入りだった今場所に、「温かい声援を送ってくれたありがたい」と目をつむり、頭を下げた。

 先場所は左膝痛で全休。「不安があった」と言うが阿武咲、貴景勝、北勝富士ら台頭する若手を次々とはね返した。出場3場所連続優勝はさすがの勝負師。3横綱が休場し、1人横綱として土俵での話題を盛り上げる責務を果たした。

 場所前、白鵬は熱弁した。「運という字には『軍』がある。戦わないと運は来ない」。戦い続ける最強横綱は2年ぶり年間最多勝の単独での獲得も決めた。次なる視界はあと31勝に迫る幕内1000勝。貴ノ岩の「あなたたちの時代は終わった」という発言が発端とされる暴行問題だが、白鵬の時代は終わらない。

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