横審も貴乃花親方を批判 協会拒絶の行動「おかしい」親方の資質問う声まで

 横綱審議委員会を終え、会見する北村委員長(右は春日野広報部長)
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 日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審)の定例会合が27日、東京・両国国技館で開かれ、横綱日馬富士(33)=伊勢ケ浜=が平幕貴ノ岩(27)=貴乃花=を暴行し負傷させた問題で、協会の調査を拒絶する貴ノ岩の師匠・貴乃花親方(45)=元横綱=の行動にも批判の声が相次いだ。会合は中間報告と質疑応答で終了し、北村正任委員長(毎日新聞社名誉顧問)は迅速な調査を協会に厳命。横審としての結論は先延ばしとなったが、日馬富士には厳しい処分を求める意見で一致した。

 横審で一親方の行動へ異例とも言える批判が相次いだ。北村委員長は「話題になりました。この問題というのは横綱審議委員会の範ちゅうの外になりますので、相撲界全体についての個人的な意見を皆さん言った。貴乃花親方の姿勢というか、これは納得できない、不可解であると」と、各委員が大きな関心を持ち、疑問を投げかけた。

 日馬富士の暴行問題は貴乃花親方により混迷が深まっている。巡業部長の立場にありながら、協会に報告せず被害届を鳥取県警に出した。協会の聴取に当初「分からない」と答え、14日に問題が発覚した際は「貴ノ岩は頭が割れている」と激怒。被害届の取り下げに応じなかった。その後、協会による貴ノ岩の聴取への協力要請も強硬に拒否した。

 協会理事ながら八角理事長(元横綱北勝海)ら執行部と対立を鮮明にしている。同委員長は「協会全体が進めることについて、それをぶちこわすような動きをしているのではないかという疑念、不可解だという意見がほとんどみんなそうでしたね」と首をかしげた。

 貴ノ岩の土俵復帰が見通せない現状も問題視。同委員長は「弟子である貴ノ岩がこれからどうなっていくのかと考えると、ちょっとおかしいのではないかと。(来場所の出場可否について)親方の意思と関取本人の意思というのは一致しているのだろうか。親方がまったく力士一人の先行きを決めちゃっていいのだろうか。相撲界の伝統で、親方と弟子の関係はあるのでしょうけど、そういうことでいいのだろうかと。(会合の)席上で出ました」と、親方の資質を問う声も上がった。

 この日の協会の報告も被害者・貴ノ岩の聴取が行われておらず、不十分。横審としての結論は示せなかった。「早くやれ」といら立つ委員もおり、最低でも年内解決を求める声があった。

 日馬富士が暴力を振るったことに間違いはなく、横審は「厳しい処分が必要」との見解で一致した。内規で成績不振や横綱としての体面を汚すと判断した横綱に対して、出席委員の3分の2以上の賛成で、厳しい順番に「引退勧告」「注意」「激励」を行うことができる。協会の調査が出そろい次第、臨時の横審を開き処分の議決を行う運びだ。

 同委員長は「いつまでも調査ができないのは協会のガバナンスの問題」と怒気を込めた。迅速な調査を何度も求めながら、長期化の様相は否めない。

 貴乃花親方は26日、部屋の千秋楽パーティーのあいさつで「正当に裁きをしていかなければならない。それが巡業部長の務め、責任だと思います」などと述べたという。徹底抗戦の構えで着地点が見えない。

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