八角理事長、東奔西走 午前は鈴木長官に謝罪、午後は力士にノーモア暴力を力説
横綱日馬富士の暴行問題に揺れる日本相撲協会の八角理事長(54、元横綱北勝海)が28日、対応に追われる悲痛な1日を送った。午前には都内でスポーツ庁の鈴木大地長官と面会し、騒動を謝罪。午後には福岡市内に舞い戻り、十両以上の力士約60人を対象に「暴力問題の再発防止について」をテーマとする講話を行い、「暴力問題を二度と起こさない」などと訴えた。日馬富士と貴ノ岩は欠席し、鳥取県警の聴取を終えた横綱白鵬は出席。同じく現場にいて、すでに聴取を終えている横綱鶴竜、関脇照ノ富士も姿を現した。
角界のトップが東で西で頭を下げた。この日の八角理事長はまず、午前に都内のスポーツ庁で鈴木長官と面会。「このたびは大変お騒がせして、申し訳ありません」と一連の騒動を謝罪。調査がまだ途中であることを報告し、今後について「貴ノ岩の体調が一番ですので。1日も早い解決へ向けて努力すると伝えた」と話した。
鈴木長官からは「大変残念に思っている。国民の期待を裏切った」などと批判され、「一刻も早く事実が解明されることを望む。社会に対しての説明責任を果たしていただきたい。協会のあり方についても検証をしていただきたい」などと厳しく要請された。
午後には九州場所が行われた福岡市へとんぼ返りし、日馬富士と貴ノ岩は欠席だったが、横綱白鵬ら約60人の力士を集めて講話を行った。冒頭で謝罪し、「暴力問題を二度と起こさないようにすることです」と言葉に力を込めて宣言。「力士のしこは大地を鎮めるとされています。諸君が東日本大震災の被災地を慰問したとき、どれだけ喜んでくれたことか、思い出してください。君たちは日本の国技を背負う力士であるという認識を新たにし、改めて暴力の根絶を胸に刻み込んでください」と求めた。ただ講話は約15分で終わり、問題の経緯説明などはなかったという。
理事長は記者会見で、具体的な再発防止策について「粘り強く講習会をを開いて指導していく。各部屋でも師匠が責任を持って、弟子を育てていくのが大事。師匠会でも訴えていくのが大事」などと説明した。