美帆、日本新で代表決めた 不利な条件の中、世界記録まであと1秒
「スピードスケート・W杯」(3日、カルガリー)
女子500メートルの小平奈緒(31)=相沢病院=が36秒53、女子1500メートルの高木美帆(23)=日体大助手=が1分51秒79のそろって日本新記録で優勝。2人は各種目で日本スケート連盟が定めた平昌五輪の代表選考基準を満たし、年末の国内選考会(長野市)への出場を条件に五輪代表に決まった。小平は1000メートルに続いて2種目目。小平は500メートルで昨季からW杯の13レースを含め出場した全21レースで1位、高木美は1500メートルで今季開幕からW杯3戦全て1位と勢いが止まらない。スピードスケート日本女子初の五輪金メダル獲得が期待される。
力強くガッツポーズを繰り出す高木美を、観衆はどよめきで迎えた。約50メートルの大差を付けられた同走のファンビークは悔しさを通り越し、笑っていた。「あんな速さで行かれたら、私はどうしていいか分からなくなったわ」。最強国オランダの実力者を置き去りにする圧巻の滑りで周囲の度肝を抜いた。
日本記録を2秒31も更新する1分51秒79。1日には3000メートルで日本新記録をマークし、同種目での日本勢初優勝を果たすなど進境著しい23歳は、「意識するところは上がっている」とより高い次元の争いを見据える。
相手の不調もあり、序盤から大きくリードを広げた。有力選手が争う最終組では異例の一方的な展開。競り合えず、最後も不利とされるアウトカーブを滑った中で出した好記録だけに、まだタイムを伸ばす余地はある。
男子1万メートルで五輪4位の実績を持つ白幡圭史強化副部長は「ここから先は相手やコース、戦い方にも左右されるレベルになる」と語る。トップ選手が競り合う領域に足を踏み入れ、1分50秒85の世界記録も見えてきた。
高木美はタイムを見て「やったあ」と思ったそうだが、次の瞬間に世界記録が目にとまった。「あと1秒かあ。あと何ができるだろう。もうひと越えしたい」。選手層の厚い中長距離で奮闘する日本のエースが、世界最速をいよいよ視界に入れた。平昌五輪まで、進化を止めるつもりはない。