ロシア猛反発「完全ボイコットすべき」 IOCの平昌五輪“除外”決定に
冬季スポーツ大国のロシアが平昌五輪から“除外”された。国際オリンピック委員会(IOC)は5日、スイスのローザンヌで理事会を開き、国ぐるみのドーピングを理由に平昌五輪へのロシア選手団派遣を禁じる処分を決めた。組織的なドーピングを一貫して否定してきたロシアは強く反発。五輪ボイコット論も出始めた。ロシアは12日に開催予定の会合で選手参加可否について決定する方針だ。
「五輪全面排除」というロシアにとって最悪の事態は免れた。ただ個人参加の道が残されたとはいえ、国旗、国歌の使用を認めない形での参加には、プーチン大統領も以前から「ロシアへの侮辱」と反発している。レベジェフ下院副議長は「五輪を完全にボイコットすべきだ」と訴えた。
IOCは過去に違反歴がないことや、大会前の検査など厳格な条件をクリアし、潔白を証明した選手のみに個人資格で参加を容認する。国のドーピングへの関与を一貫して否定しているロシアにとっては、処分受け入れのハードルは高い。
ロシア・オリンピック委員会(ROC)のジューコフ会長は、個人資格による平昌五輪へのロシア選手参加可否について選手も出席した会合で最終決定すると述べた。会合は12日開催の見通し。
ジューコフ氏は理事会後、ROCの資格停止処分を巡り記者団に「潔白な選手が五輪に個人資格で参加できるのは肯定的な面。参加しても国旗と国歌を使用できないのが否定的な面だ」と発言。「選手の利益が最大限に考慮された決定かと言えば、そうだ」とも語った。
ムトコ副首相が五輪から永久追放処分を受けたことは、ロシアにとって想定外で衝撃だったとみられる。国営ニュース専門テレビ「ロシア24」などを傘下に収める全ロシア国営テレビ・ラジオ放送会社は5日、ロシア選手団が参加しない五輪の中継放送をしないと発表した。
国際パラリンピック委員会(IPC)は22日に平昌大会への参加可否を判断する。メダルを量産してきた冬季スポーツ大国が五輪、パラリンピックから不在となれば、平昌大会の勢力図は大きく塗り替えられる可能性がある。