宮原笑顔の3位発進!自己ベストに0.03差「今の段階でいいもの出せた」
「フィギュアスケート・GPファイナル」(8日、日本ガイシホール)
女子SPは宮原知子(19)=関大=が自己ベストに迫る74・61点で3位、初出場の樋口新葉(16)=東京・日本橋女学館高=は73・26点で5位につけた。
完全復活への“過程”の中で、怪我をする前の1年前の自分にほぼ並んでみせた。演技を終えた宮原に、朗らかな笑みが浮かぶ。完ぺきな演技で、昨年のGPファイナルで記録した自己ベストにわずか0・03点差に迫る74・61点をマーク。「1番滑走だったので緊張するかと思ったけど、思った以上に落ち着いて滑ることができた。まだ100%ではないけど、今の段階でいいものを出せた」。堂々の3位発進を決めた。
冒頭の3回転ルッツ-3回転トーループの連続ジャンプを決めると、しっとりとしたSP「SAYURI」の世界観を見事に表現した。自身の地元である京都を舞台にした芸者の激動の人生を体現。表現力を示す5項目の構成点では8点台後半を並べ、高い評価を勝ち取った。
今年2月に左股関節の骨折が判明。約11カ月実戦から離れた。本来ならプログラムを作り、滑り込みを始める夏場にも氷から離れ、体幹トレーニングを積む我慢の日々だった。重要な五輪シーズンを前に痛い出遅れだったが、流した汗は、着実に糧となっていた。「ひと押しでグッと滑れるようになった」。まだ練習に制限を掛けた状態での11月のNHK杯では5位に終わったが、続くスケートアメリカでは復活優勝。補欠から繰り上がりでのファイナル出場に繋げた。
「ラッキーなチャンスを逃したくない」。樋口を上回り日本勢の最上位となれば、平昌五輪出場に大きく近づく。フリーは戦時下の悲恋を描く「蝶々夫人」。SPと同じく挫折と苦労に、我慢を重ねた宮原だからこそ描ける勝負作で、夢舞台を手繰り寄せる。