女子団体追い抜き、また世界新 高木美が先頭で奮闘
「スピードスケート・W杯」(8日、ソルトレークシティー)
女子団体追い抜きは高木美帆(23)=日体大助手)、佐藤綾乃(21)=高崎健康福祉大、高木菜那(25)=日本電産サンキョー=の日本が2分50秒87の世界新記録で優勝した。今季の全3レースを世界新で制しており、第3戦のタイムを3秒01更新した。女子500メートルは小平奈緒(31)=相沢病院=が自身の記録を0秒03塗り替える36秒50の日本新。W杯のこの種目での連勝は昨季から14に伸びた。男子団体追い抜きでウイリアムソン師円(日本電産サンキョー)一戸誠太郎(信州大)中村奨太(ロジネットジャパン)の日本は3分37秒08の日本新で4位だった。
滑るたびに進化する。序盤と終盤に1周と4分の3ずつ、高木美は懸命に隊列を率いた。近年で最長となる合計3周半。空気抵抗の大きい先頭を務めた疲労感に「喜ぶ力が残っていなかった。ハードなレースだった」と直後はぐったりした様子も見せたが、圧巻の世界記録に屈託のない笑みがこぼれた。
今季は高木美が2度に分けて計3周、引っ張るパターンで滑ってきた。前週を終えデビット・ヘッドコーチは、頭一つ抜けた力量を誇る高木美の先頭を増やすプランを打診。エースは「頑張ろうと思った」と受け入れた。序盤は軽快なスタートから半周13秒台のハイペースを生み出して佐藤につなぎ、姉の菜那から先頭を引き継いだ終盤は14秒0前後で耐え抜いた。
1000メートルに今季無敗の1500メートル、W杯第3戦で衝撃的な優勝を飾った3000メートルと個人種目に加え、団体追い抜きでも期待は高まるばかりだ。体に異変を感じるとすぐにドクターに相談するなど自己管理を徹底。好調を維持する大黒柱は快記録にも「五輪本番は同じようにはいかない」。この謙虚で慎重な姿勢で自らを鍛え、チームを支えている。