白鵬、鶴竜減給 両横綱に厳重処分 暴行事件再発防止へ見せしめ的側面も
大相撲の元横綱日馬富士(33)=伊勢ケ浜=が幕内貴ノ岩(27)=貴乃花=を暴行した問題で、日本相撲協会の危機管理委員会(委員長=高野利雄・元名古屋高検検事長)は20日、東京・両国国技館で開いた横綱審議委員会の臨時会合と臨時理事会で最終報告をした。
両横綱に来年初場所で“ただ働き”の厳重処分が科された。白鵬は来年1月の給与全額不支給と同2月の給与50%カット、鶴竜は1月分の給与全額不支給。横綱の月給は282万円のため、白鵬は423万円、鶴竜は282万円の不支給。懸賞金などは受け取ることができる。
加害者ではない両横綱を処分したことには再発防止の見せしめ的な意味もあると思われる。八角理事長(元横綱北勝海)は「その場に居合わせて、暴力を防げなかった者にも責任があると考えた。その点を、再発防止の観点からはっきりさせるために、2人の横綱に処分を行った」と説明した。
白鵬に関して、危機管理委員会の報告書は、元横綱日馬富士による暴行の前に貴ノ岩へ説教をしたのが酒席で、角界以外の関係者がいる場だったことが「相当なものであったとは言えない」と指摘。さらに、最初に暴行を制止したものの、結果的にリモコンによる殴打でケガにつながり、「第一人者である白鵬がいながら防ぐことができず、大相撲の信用失墜につながったことを考えると、責任は軽くない」と厳しい言葉を並べている。鶴竜に関しても同様に指摘をしているが、白鵬より一連の経緯への関与が浅く、「責任の程度は若干軽いと思える」(八角理事長)とのことで、処分に差がついた。
両横綱は午前の横審に出席したが、午後の理事会が始まる前に国技館を後にした。弁明を聞かなければ処分できないため、ともに「いかなる処分にも応じる」と弁明したという。償いの来場所で名誉挽回できるか。