フィギュア全日本選手権の珍事 優勝者が変わった夜 高橋大輔と織田信成

 「フィギュアスケート・全日本選手権」(21日、武蔵野の森総合スポーツプラザ)

 クリスマスの時期にはフィギュアスケートファンの心が躍る。全国のトップ選手が一堂に会する全日本フィギュア選手権が開幕した。今年は平昌五輪の男子3枠、女子2枠をかけて争われているが、毎年行われるクリスマスの“祭典”で珍事が起こったのが2005年だ。06年トリノ五輪代表枠をかけた戦いが前代未聞の幕切れとなった、波乱の一夜を振り返る。

 12月24日、東京・代々木。この年の男子は関大の先輩と後輩でもある高橋大輔と織田信成のマッチレースだった。フリーが終わり、一度は織田が優勝者として表彰式、記者会見が行われた。高橋は、目を真っ赤にして「悔しい」と語っていた。

 しかし、その直後から日本スケート連盟関係者がバタバタと動きだした。「何かが起こっている」と感じた報道各社が取材を開始した約1時間後、高橋が1位、織田が2位と順位が訂正された。織田が受け取ったメダルとトロフィーを返して泣きながら会場を後にした一方で、高橋は観客のいないリンクでたった一人、そのメダルとトロフィーを受け取った。

 理由は採点ミス。織田が同じジャンプを2度までしか跳べない規則を犯して3度跳んでいたが、その3度目のジャンプが無効とならずに7・40点が加点されていたことだった。飛びすぎに気づいた国際スケート連盟(ISU)のジャッジが確認してミスが発覚。織田が減点され、高橋と順位が入れ替わったのだ。

 6点満点の採点方法から現在の採点方法へ正式に変更されて2シーズン目の出来事だった。自動的にジャンプの跳びすぎミスをはじくシステムが導入されていなかったと日本スケート連盟は説明し、織田に謝罪した。

 しかし「信成」「大ちゃん」と呼び合っていた、仲のよい2人に起こったあまりに残酷な結末。「僕が反対の立場だったら悔しい。だからなんとも言えません」と、初の五輪出場を決めた高橋にも笑顔はなかった。

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