宇野 初五輪連覇で決めた! 圧倒Vでも満足せず ファンに謝罪「申し訳ない」
「フィギュアスケート・全日本選手権」(24日、武蔵野の森総合スポーツプラザ)
代表3枠を争った男子は宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=がショートプログラム(SP)に続いてフリーも1位となって合計283・30点で2連覇し、選考基準を満たして初の五輪切符をつかんだ。田中刑事(23)=倉敷芸術科学大大学院=が合計267・15点で2位。右足首故障で欠場した2014年ソチ五輪王者の羽生結弦(ANA)がこれまでの実績で田中とともに五輪代表に選ばれた。代表1枠のアイスダンスは村元哉中、クリス・リード組(木下ク)が合計166・45点で3連覇し、ペアの須崎海羽、木原龍一組(木下ク)とともに五輪代表入りを果たした。
悔しさをかみしめながら、宇野が初の五輪行きを決めた。前半のジャンプは全て成功したものの、後半は新たに挑戦したダブルアクセル(2回転半)-4回転トーループの連続ジャンプが2回転半-2回転になるなど撃沈。右手を突き上げてフィニッシュすると、そのまま頭の上で両手を合わせた。「結果をのみ込めないくらい。悪い演技が続いているのが情けない」と宇野。「悔しくて申し訳ない」連覇となった。
唯一前向きな材料は「攻める」というテーマだけは最後まで貫いたことか。後半最初の4回転フリップを転倒した段階で体力的な限界を感じていたが、「やらないことに何の意味があるんだろうと思った」。果敢に“新ジャンプ”に挑み、はね返された。「体力不足です」。“負け”を認め、再起を誓った。
激動のシーズンだった。今季初戦でいきなり自己ベスト。次のジャパンオープンはボロボロだった。挽回しようと練習に励むと、右足を肉離れ。思うように練習が積めなかった。優勝したスケートカナダ帰国後はインフルエンザを発症。病み上がりのフランス杯はミス続きの苦い記憶だ。
練習したいのにできない歯がゆさを感じる毎日に「楽しい時っていつか忘れかけていた」と言うほど追い込まれた時期もあった。滑る楽しみを思い出したのは、地元・名古屋で開催されたGPファイナル。優勝できず2位に終わったが、温かさに救われた。
平昌五輪がゴールだとは思っていないが、宇野のスケート人生において、重要なターニングポイントであることは間違いない。「ベストな練習を尽くして、期待に応えられる演技をしたい。今年は何度も失敗しているけど、五輪では次はない気持ちで頑張りたい」。やっとつかんだ夢舞台行きの切符。今度こそ完璧に演じ切り、笑ってみせる。