天覧相撲を相撲協会が辞退 暴行、セクハラ余波「昨今の情勢を踏まえて」
宮内庁の山本信一郎長官は11日の定例記者会見で、天皇、皇后両陛下が昨年まで3年連続で観戦されている大相撲初場所について、今年は取りやめとなった、と明らかにした。昨年10月に日本相撲協会から招待を受け、検討していたが、今週に入って協会から「昨今の情勢を踏まえて辞退したい」と申し入れがあった。
国民的関心を集めることになった元横綱日馬富士の暴行問題、そして、立行司の式守伊之助による10代の若手行司に対するセクハラ行為も発覚。協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「暴力問題に加えて、新たな不祥事を起こしてしまったことから、今週初め、1月場所の行幸啓(ぎょうこうけい)をご辞退申し上げたいとお伝えしました。誠に申し訳なく、おわび申し上げます」と文書でコメントを発表した。
陛下は初場所を観戦するのが慣例となっており、2015年からは3年連続で観戦。ただ過去にも同様の例で観戦を見合わせた時期もあり、八百長問題が起きた2011年の翌年からは3年連続で天覧相撲がなかった。
力士たちは天皇賜杯を夢見て、厳しい稽古に励んでいる。しかし大相撲にとって特別な日は、また不祥事によって消えてしまった。春日野広報部長(元関脇栃乃和歌)は「残念。一番見ていただきたい方。ご迷惑をお掛けすることはできない」と肩を落とした。