貴ノ岩、3月春場所も休場になる懸念 松本クリニック・松本浩彦院長の見解

 今回の診断書、第一印象は「真っ当」です。病名が「頭部外傷、頭皮裂創痕、右乳突蜂巣炎痕」で「繰り返す頭部打撲は慢性硬膜下血腫発症の危険性を増す」のは、力士であれば立ち合いで頭からぶつかることも日常茶飯事で、普通のビジネスマンには当てはまりません。頭蓋底骨折はなかったと受け取れます。

 頭皮の裂傷は確かにひどかったので「受傷後3カ月程度は頭部打撲を避ける必要」も分かります。慢性硬膜下血腫というのは静脈の脳出血のことで、動脈が破れると命の危険もありますが、静脈性出血はゆっくり進行しますので、ガチンコ相撲を続けているとリスクが高いですよ、という程度です。

 乳突蜂巣というのは、耳のすぐ後ろに皆さんが手を触れても分かる頭蓋骨の飛び出しがあるのですが、それのことです。この突起状の骨の中は蜂の巣のように小さな空洞がたくさんあり、その端は耳の孔とつながっています。最初の診断書の「髄液漏による外耳道炎」があったことになり、この点だけは頭蓋底骨折がなかったとするとつじつまが合いません。

 「平成30年1月の就業は困難」は力士という職業だからで、日常生活なら問題ないのですが、それよりも3月の春場所も休場になるかもしれない、というのが今の懸念と言えるでしょう。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、(社)日本臍帯・胎盤プラセンタ学会会長。

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