兵庫が14年ぶり4度目のV!震災後生まれの9人が思いつないだ「風化させない」
「全国都道府県対抗女子駅伝」(14日、西京極陸上競技場発着=9区間)
兵庫が2時間15分28秒で14年ぶり4度目の優勝を飾った。6区・後藤夢(17)=西脇工高、7区・樽本知夏(18)=須磨学園高、8区・石松愛朱加(14)=浜の宮中=の中高生が3連続で区間賞を獲得する力走。7区でトップ立ち、そのまま逃げ切った。2位は昨年優勝の京都、3位は長崎だった。
金の卵たちが14年ぶりに兵庫に栄冠をもたらした。レース中盤までは5位から10位でたすきをつなぎ、6区・後藤、7区・樽本、8区・石松が3連続で区間賞を獲得。樽本がトップに立つと、石松は区間新記録まであと1秒という力走だった。
全国中学校駅伝4位の実績を持つ中学2年生は「落ち着いていけた」とその差を広げてアンカーにたすきを渡した。9区・福田有以(22)=豊田自動織機=は「約1分もあいていた。それを私がなくしてしまったらどうしようとプレッシャーがあった」と振り返ったが、主将としてリードを守り切った。
直近13大会で2位と3位が7度。「14年は長かった」という榎本隆夫監督(57)=小野高教=のもどかしさは強豪県復活にかける思いだけではない。今月17日で阪神・淡路大震災の発生から23年。兵庫県出身者ばかりの今大会の出場選手は全員震災後に生まれている。
95年のこの大会は震災の前日に開催されていた。「震災と切り離せない大会」という同監督は「われわれが頑張ることで震災(の記憶)を発進できる」とミーティングで選手に伝えてきた。「兵庫が上位に入ることで風化させない一助になると考えてきた。その意味でも(優勝は)大きい」。若い世代がつないだ震災の記憶。この勝利のもう一つの意味だった。