御嶽海7連勝 大関とりへ押せ押せ 強い!ノッてる嘉風に何もさせず
「大相撲初場所・7日目」(20日、両国国技館)
関脇御嶽海が好調の平幕嘉風を引き落として一蹴し、7連勝とした。大関とりを宣言する今年、押し相撲に磨きがかかり、精神面でも覚醒。平幕栃ノ心との全勝対決を寄り切りで制した横綱鶴竜と2人がトップを並走している。大関高安は逸ノ城の下手投げに屈し、3敗目。全勝の2人を追う1敗は栃ノ心、松鳳山、大栄翔、朝乃山の平幕4人となった。
強い。御嶽海が2横綱1大関を破って乗る嘉風に何もさせなかった。立ち合い、右肩ではね上げて押し込んでから距離を取る。足を止めた相手に、押し込んでから絶妙の引きで土俵に落とした。スピード自慢の35歳のお株を奪う連続攻撃だった。
「流れは良かった。声援は力になりますね。いつも通りという感じ」。貫禄すら漂わせ、25歳は淡々と語った。
今場所は右からの押っつけ、はず押しで突き押しに磨きがかかっている。入門以来、指導する出羽海部屋付きの中立親方(小結元小城錦)が「あの手の使い方は頭で分かっていてもできるものじゃない」と言う天才肌だ。
あり余るセンスの一方で、親方衆から稽古不足を指摘されてきたのも事実。昨年は全6場所に勝ち越したが、三役では8、9勝止まりと2桁の壁を突破できなかった。
数々の名横綱、名大関を輩出した角界随一の名門・出羽海部屋。その再建を託された男は昨年末、部屋の忘年会で師匠の出羽海親方(元幕内小城乃花)から「若い衆を引っ張っていってくれ!!」とハッパをかけられた。
御嶽海は1月3日、一門の連合稽古で「大関とり、2桁勝利、優勝争い」を宣言した。この日の朝稽古でも「上を目指すと言った以上、やんなきゃ」とキッパリ。いつもは陽気な25歳は、ピリピリオーラを漂わせている。土俵下で見た審判長の藤島審判部副部長(元大関武双山)は「上に上がる素質はある」と高評価した。
先場所は9勝、今場所で大きく勝って優勝争いなら来場所が大関とりの可能性も十分だ。全勝は鶴竜と2人。「(周囲の)期待に応えられるように頑張る」と力を込めた。