栃ノ心1敗対決制した 御嶽海を豪快つりだし!「一つ一つ集中」
「大相撲初場所・9日目」(22日、両国国技館)
平幕栃ノ心が関脇御嶽海との1敗対決を制し、勝ち越しを決めた。怪力で豪快につり出して優勝戦線に生き残った。4場所連続休場から復活優勝を目指す横綱鶴竜は荒鷲を寄り切って9戦全勝とし、単独首位を守った。1敗は栃ノ心、2敗に御嶽海、平幕大栄翔が続く。
栃ノ心は万力のように両腕を締め上げた。1度目のつり上げはまだ土俵の中。続いて丁寧に土俵外へつり出し。体重164キロの御嶽海を楽々と30センチ以上も宙に浮かせ、館内の度肝を抜いた。
最大の武器、左上手を取れば負けない。「良かった。気がついたら組んでた。よしっと思った」と豪快星に笑顔は止まらなかった。
稽古漬けだった冬巡業が心身とも大きかった。元日馬富士の暴行事件を受け、貴乃花親方が巡業部長を外れ、師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)が巡業部長代理に就いた。
「稽古は好きだから」と言うが、土俵下で目を光らせる師匠がいれば、より一層、引き締まるというもの。大関にも積極的に胸を借り毎日、土俵に上がって番数を重ねた。
柔道、サンボの格闘技経験が土台にあり、怪力が自慢。過去準優勝経験は3度もある実力者。しかし13年名古屋場所で右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂し4場所連続休場。幕下55枚目まで降下した。引退もよぎりながら再起し、再びV戦線に戻って来た。
ニノ夫人が昨年11月に長女アナスタシアちゃんを母国のジョージアで出産した。まだ帰国中で栃ノ心はその太い腕にまな娘を抱いたことはない。場所後に帰国し、胸を張って会うことを目標にパパは頑張っている。「(勝ち越しを)報告するよ。喜んでくれる」と目尻を下げた。
全勝の鶴竜をただ1人1敗で追う展開になった。「あまり考えたくはない。考えると硬くなる。一つ一つ集中」と気を引き締めた栃ノ心。欧州出身では琴欧洲、把瑠都以来3人目の優勝も夢ではない。