大栄翔 自己最速勝ち越し 納谷ら名門・埼玉栄後輩に刺激 トップ鶴竜に2差キープ
「大相撲初場所・10日目」(23日、両国国技館)
西前頭13枚目の大栄翔が栃煌山を押し出して8勝目(2敗)を挙げ、自己最速の10日目で勝ち越しを決めた。貴景勝、阿武咲ら勢いある若手の陰に隠れてきたが、突き押しがさえてトップに2差とV戦線に残った。24歳、一皮むけて存在感が増してきた。横綱鶴竜が隠岐の海を送り出し、優勝した17年九州場所以来となる無傷10連勝で単独トップを守った。栃ノ心が琴奨菊を寄り切り、1敗で追う。
今年の大栄翔はひと味違う。三役常連の実力者、栃煌山に何もさせなかった。当たって突き放す。組まれそうになったが振りほどいて再び強烈な突き連打。一気に押し出した。
「前でしっかり突き放せた」と納得顔。前日の敗戦を引きずらず、自己最速の勝ち越し。「連敗しないのが一番」と安どした。
高校相撲界の名門・埼玉栄出身。大関豪栄道を筆頭にOBの関取は現在7人もいる。だがここまで存在感では遅れを取ってきた。
後輩の21歳貴景勝には三役昇進で先を越され、1学年先輩ながら入門は後だった北勝富士にも抜かれた。大物食いで話題になる若手陣。世代交代の話題の中、蚊帳の外にいた。
今場所はさらに同校3年で昭和の大横綱、大鵬(故人)の孫・納谷がデビュー。「(後輩は)意識しますよ。刺激になる」と、負けん気に火がついた。
正月は部屋近くの神社に初詣。おみくじを引くと「中吉」だった。4年連続「吉」から変化はあったが「どっちが上?」と苦笑い。「上がっていく感じで」と前向きに考えた。 首位に2差をキープ。優勝争いは「勝っていけばそういうところに食い込める」と今は一番一番、白星を重ねるのみ。昨年夏場所、自己最高位前頭3枚目で初めて横綱、大関に挑んだが4勝11敗に終わった。「番付をしっかり戻して上位を目指してやっていく」。24歳、し烈な出世争いに割って入る。